施設に戻ってきたキルティは数匹のルームメイトと一緒にキャットルームで暮らし始めました。

ある日の朝、出勤した私たちは信じられない光景を目にしました。
猫たちが暮らす部屋のドアが開いていて中にいるはずの猫が部屋の外を歩き回っていたのです。
お腹を空かせた猫たちに朝ごはんの缶を開けるまで、猫を部屋に戻すのは簡単ではありませんでした。

猫たちが部屋の外で何もせずに戻るはずがありません。
1匹は受付のマウスパッドに粗相をしてしまいました。別の1匹は募金箱をトイレにしてしまいました。
カウンターの上に会ったものは殆どが床に散乱していました。今思い出すだけでも疲れてしまうくらいめちゃくちゃ名ありさまでした。

いったい誰がドアを開けたのか・・・私たちはロビーとキャットルームに設置されたカメラの映像で確認することができました。
そこには騒ぎの一部始終が残っていたのです。

猫たちがゆっくりと部屋の外を探検しているのが写っていて、猫の耳の先端がロビーのカメラを横切って移動しているのも映っていました。
そして、キャットルームのカメラからドアを開けたのはキルティだと分かったのです。

施設ではキャットルームのドアにレバーハンドルを使用していますが、それまでドアを開けられたことはありませんでした。
キルティに開けられないようにスタッフ全員で知恵を出し合い、レバーハンドルのおもりにホウキを使うことにしました。この方法はキルティにも有効でしたが、施設を訪れる人には不親切なのでいつも浸ける訳にはいきません。
ところがキルティはホウキを使わないタイミングを見計らって何度も私たちを出し抜いたのです。

それからというもの、私たちスタッフとキルティの知恵比べが始まりました。
キルティは何度も私たちを出し抜いてはロビーでゆったりとくつろいでいたのです。

私たちはチャイルドロックを取り付けることにしました。
ところが、取り付ける前に購入していたはずのチャイルドロックが消えてしまい、別のものを購入してようやく取り付けることができました。
幸い、チャイルドロックにはキルティも手を焼いていますが、最初のチャイルドロックが消えたのはシェルターの中にキルティの脱走を助けたいと言う想いがあるのかもしれません。

それでもキルティは諦めませんでした。
彼は素晴らしいコミュニケーターなのですぐに日との心を掴んでしまいます。
何も知らないボランテョアが部屋を出入りするときをキルティは決して見逃しませんでした。

そんなキルティはキャットルームの中でお昼寝を楽しみ、毛布の代わりにするためにタオルやマットを棚の上から引っ張り出して使っています。

なぜ、キルティがほかの猫まで外に出すことにこだわるのか・・・理由は分かりませんが、恐らくキャットルームをひとり占めに使うためではないかと思っています。

キルティがドアを開ける方法を身に着けたのは以前の飼い主さんと暮らしているときだったようです。
元のオーナーの話では、一緒に暮らしていた犬をキルティが外へ出してあげていたのだそうです。友達想いのキルティにオーナーはとても感激していたのだそうです。

もし友だち思いの賢い猫を探している人が居たら、ピッタリの猫がここにいますよ。