その猫はリトル・エンジェルという名前で最近まで飼い主のトニーさんに愛情を注がれて幸せに暮らしていたそうです。ところが、トニーさんが突然脳卒中で倒れICUに緊急搬送されてしまったのです。幸い、トニーさんは一命を取り留めることができましたが、退院してもこれまでのようにペットのお世話ができなくなってしまいました。リトル・エンジェルのことを心配したトニーさんの隣人のひとりが、彼女のために新しい飼い主を探し始め、ペットのFacebookに投稿していたのです。

待機中だった私はリトル・エンジェルの助けになると思い、早速お世話をする手配をしました。
ところが、一緒に暮らし始めたリトル・エンジェルに私はすぐに心を奪われてしまいました。
数週間後、私は正式にリトル・エンジェルを家族に迎えることを決心して手続きをしました。
すっかり家族の輪に加わっていたリトル・エンジェルを、私たちはチキン・リトルと呼ぶようになっていました。

ちょうどその頃、トニーさんは必要な介護と生活支援を受けられる老人ホームで暮らし始めていました。
チキン・リトルが私たちとの暮らしに満足していることは感じられましたが、私はトニーさんもチキン・リトルもお互いに会いたがっているに違いないと思いました。
私はトニーさんの隣人の助けを借りて、トニーさんとチキン・リトルを再会させるように手配を始めました。

トニーさんが暮らす老人ホームではペットを飼うことができません。私たちは何とかトニーさんの部屋へチキン・リトルを連れて行けないかと思いました。すると、規則ではペットの持ち込みすらできない施設で介護スタッフの人たちが全面的に協力してくれることになりました。
彼らはチキン・リトルを見なかったことにしてくれたのです。

トニーさんの部屋でチキン・リトルのキャリーケースの扉を開けました。
初めての部屋に最初は警戒していたチキン・リトルでしたが、トニーさんに気付くとすぐに足元に摺り寄って顔を擦りつけました。
そのとき、トニーさんの表情がパッと明るくなるのが分かりました。

チキン・リトルはトニーさんの腕の中でしっかりと抱きしめられました。
たっぷりと寄り添いあったチキン・リトルとトニーさんはさよならの時間が来ても淋しくはありませんでした。
幸せそうなチキン・リトルとトニーさんの様子を見て、私は数週間ごとにチキン・リトルとトニーさんの部屋を訪れようと思いました。
リトル・エンジェルとの絆はきっとトニーさんの心を明るくしてくれると思います。