女性の家の前に車を止めたとき、猫が固く目を閉じて庭に座っていました。私が車から降りると、すぐに子猫が近付いて来てさらに大きな声で鳴きました。誰かに気付いてほしい、早く助けてほしい、子猫の鳴き声はそう言っていました。
ウエットフードをお皿に入れて子猫の前に差し出すとお腹を空かせた子猫は食べ始めました。子猫にトラップは必要ありませんでした。子猫はお皿を追ってケージの中に入っていきました。

私は子猫にシンバと名前を付けました。私は動物病院に予約を入れ、自宅でお世話を始めました。
シンバはほぼ全身に疥癬が広がり、まるで固い殻に覆われているようでした。
幸いシンバは元気で食欲があり水もよく飲みました。目に軟膏を塗ってあげると少し目が開けられるようになりました。
頭と耳にココナツオイルを塗り、固くなった耳の縁の皮膚を柔らかくしてノミ用の櫛で少しずつ剥がしました。

数日後、動物病院で診察を受けたシンバは数日入院することになり、そこでお風呂に入れてもらい毎日治療を受けることができました。
血液検査の結果、幸い命に関わる感染症にはすべて陰性でした。私は帰宅するシンバのために少し大きめのケージを用意しました。
退院したシンバは痛みや痒みがなくなりきれいに目を開けることができるようになりました。
シンバは私が与える食べ物を全て平らげ、少しずつ体重を増やし体力を取り戻していきました。

1か月後、シンバは不快感がなくなりすっかりリラックスして過ごせるようになりました。
病気の猫を救出したとき、苦痛から解放された猫を見られるのは最高です。

治療のために刈られた被毛はまだ生えそろっていませんでしたが、シンバの皮膚はきれいになりました。
シンバは感染を防ぐためにほかの猫とは別の部屋で暮らしてきました。私が部屋に入るといつも私の足元に倒れて頭を掻くようにと見上げました。

シンバは私には気さくでフレンドリーな猫ですが、初対面の人にはとてもシャイでした。私の家でリラックスして過ごすシンバですが、私にはシンバが家猫だったのかは分かりませんでした。
シンバのように社交性を育てる必要がある猫はより多くの時間と彼への注目が必要です。
ほかの猫と一緒に過せるようになったシンバに、できれば彼が自由に家の中を歩くことができる養育ボランティアを見つけたいと思いました。

私の家で暮らし始めて6か月が過ぎ、シンバに初めて出会ったときの面影はもうありません。
シンバは新しい家族を探す準備を整えることができました。
シンバはお腹を撫でられたり、背中を丸めて撫でられるのが大好きです。
ただ、いまだに私に抱き上げられるのを許してくれません。
気候のいいフロリダでは1年中子猫が生まれています。助けが必要な猫は次から次に現れ、常に養育ボランティアが不足しています。シンバのための養育ボランティアはなかなか見つかりませんでした。

救助された猫たちが健康を取り戻して次の人生へ歩みを進めるとき、シンバのようにもう少しだけ人間の手助けが必要なケースは決して珍しくありません。
圧倒的に養育ボランティアが不足している私たちは絶え間ない救出活動と養育の中で人手を求めています。
ひとりでも多くの人が2,3週間の養育の手助けをしてくれたら、私たちの呼びかけに応えてくれる人が増えることを願わずにはいられません。

必死に助けを求めて鳴いていた子猫は、通りから救われて本来の姿を取り戻すことができました。私は驚くほどの回復を見せたシンバの救出に携われたことを幸せに思っています。
救出した猫たちにふさわしい人生を送ってもらうために、私たちは彼らの旅立ちのその日まで全力を尽くします。シンバにはきっと幸せな出会いが待っています。