妻は路地に停めてある車の下にトラ縞の子猫が居るのに気付きました。子猫はタコと目が合うと車の下からゆっくりと出てきてそのままタコに近づいて行きました。
妻には警戒していましたが、子猫はタコのところまで歩いて行きました。子猫はタコに顔を擦りつけ、まるで抱くように自分の尻尾をタコの身体に巻きつけました。どうやら一緒に遊びたいようでした。

妻が近所の人に子猫のことをたずねると、すぐ近くのオープンガレージにひとりで暮らしていて、近所の人たちに食べものをもらっているそうでした。生後2か月ほどの子猫がどこから来たのか、なぜ母猫や兄弟が一緒にいないのかは誰も知りませんでした。
ずっと寂しかった子猫はようやくタコという遊び相手を見つけたようでした。

妻は子猫と近付きたくて、出かけるとき子猫のおやつを持って行くようになりました。子猫はタコが一緒にいるとタコと遊ぶのに夢中でした。
それから間もなく子猫は私たちの自宅の傍に姿を見せ、タコが出てくるのを待つようになりました。
子猫は妻とタコがでかけるたびに外で待っていました。雨が降っても子猫は雨を凌ぎながらタコを待っていました。タコは子猫が待っていることに気付くとドアの前でせかすように吠えました。
次第に子猫は妻への警戒心を解き、彼女の膝に上るようになりました。

しばらくして、ローマの町が浸水するほどの嵐が近付き、予報では少なくとも1週間ほど居座ると言っていました。
雨が強くなるに従い、妻は窓辺で外を見る時間が増えていきました。
そして突然、バッグを掴むと外へ飛び出していきました。
私たちは子猫に家が必要だと分かっていました。

最初のうち、子猫は初めての家の中で怖がって隠れる場所を探し続けました。しかし子猫のそばにはタコがいて次第に私たちの家が安全だと気付いたようです。子猫はようやく落ち着いてタコの傍で喉をゴロゴロと鳴らし始めました。それから2日間子猫は喉をゴロゴロ鳴らし続けました。
私たちは子猫を家族に迎えることを正式に決め、テキーラと名付けました。

テキーラが私に慣れるには1時間ほどかかりましたが、そのあとは驚くほど早く私たちとの暮らしに馴染んでいきました。
彼はタコの後を付いてまわり、決してタコを自分の視界から外そうとしませんでした。
2匹はまるでずっと一緒に育ってきた本当の兄弟のようでした。お互いの後を追いかけて家中を走り回り、遊ぶときはいつも一緒に大騒ぎで遊びました。
私たちの家は一気ににぎやかになりました。

タコはアーティストの私に似てとても社交的で誰とでもすぐに友達になることができます。
テキーラはとても勇敢ですが、シャイなところがあってデルフィーナにそっくりです。
私たち夫婦のように、タコとテキーラは2匹が一緒にいて完成されている、お互いが決して切り離すことのできない存在になりました。

私たちはタコの他にペットを飼うつもりはありませんでした。しかし、タコの前に突然現れたひとりぼっちの子猫はタコの友だちになり永遠の家を見つけました。

素晴らしいことに私たち家族はお互いにとても仲良くやっています。
妻は言います。『タコとテキーラは私の人生の愛よ。』