子猫は小さな足でそのまま肩まで駆け上ると私の顔に鼻をこすりつけてきました。
私は思わず笑ってしまいました。
私が子猫を抱くと子猫はすぐに眠ってしまいました。
そこは人里離れた場所で見渡す限り農耕地が広がっています。子猫の家らしきものはありませんでした。

同僚たちが次々に子猫を見にやってきてすっかり人気者になってしまいました。
子猫に必要なものが何もなかったので、私は大至急車を走らせてとりあえず子猫のトイレと食べものを買いに行きました。

私は研究室の予備の椅子に枕を乗せて子猫用のベッドにしました。
デスクに向かう私の後ろで子猫は眠って過ごし、目を覚ますと私のデスクの周りを探検しました。
お腹を空かせていた子猫はまるで食べものを見たことが無いのかと思うほど食べました。

私は普段頑固なふりをするのが好きですが小さな子猫は私の心を完全に奪ってしまいました。
私は子猫にスパッドと名前を付けました。
じゃがいもの意味ですが、私たちの仕事では新しい土地の調査を始めることをスパッドといいます。
子猫と出会った場所は掘削作業の現場だったのでその名前がピッタリだと思いました。

スパッドは私がいるときはずっと後を付いてまわり、一晩中私の首の顎髭の中で眠りました。
私が自宅に帰るまでの数日は現場にいなければなりませんでした。その間、スパッドは研究室で留守番をして待っていてくれました。
私は椅子の上に枕を置き、私のシャツを毛布の代わりにしてスパッドのベッドの代わりにしました。
私がでかけると目を覚ましたスパッドは私を探しました。私が戻ってくると飛んできて肩まで上ってきて安心したように眠りました。

私がニューヨークの自宅に帰る日、最後の2時間は同僚たちが次々にスパッドに挨拶に訪れ最高の時間でした。

自宅につくとスパッドをお風呂に入れました。
スパッドは私の自宅を気に入ったようです。
私はスパッドのために窓辺に鳥のビデオを流すタブレットを置きました。

どこからともなく現れた小さな子猫は、まっすぐに私の肩に飛び乗って自分の家を見つけました。