近所の人たちは茂みや車の下で雨を凌いでいる野良猫に気付いていましたが、残念ながら救いの手を差し伸べる人はいませんでした。
同僚の写真を見たイザベラさんは目の塞がった野良猫にすぐにでも助けが必要だと分かり、野良猫が姿を見せたら電話をするように頼んでおきました。
その夜電話を受けたイザベラさんはキャリーケースとブランケットを掴んで車を走らせました。

野良猫は車の下に隠れて丸くなっていました。
イザベラさんは野良猫が道路に飛び出さないように地面に腹ばいになって頭を車の下に入れ、野良猫に優しく声をかけながらドライフードをあげました。すると怖がっていた野良猫はドライフードを食べ始めました。
30分後、彼女は無事に野良猫をキャリーケースに入れることができ、そのまま動物病院へ走りました。

連絡を受けた地元の動物保護施設、シャトンズ・オルフェリン・モントリオールが野良猫を受け入れることになりました。
野良猫は約3歳のメスのペルシャで上気道感染症のために呼吸が苦しそうな上に、結膜炎のために目がほとんど塞がった状態でした。
マイクロチップは見つからず、幸いにもFIVとFeLVには陰性でした。
被毛は汚れて絡み合い、骨と皮のようにやせ細っていましたがお腹が固く、超音波検査の結果妊娠していることが分かりました。

ローズと名付けられた猫は早速治療を受け、絡まっていた被毛がきれいに刈られました。
とても小さな体のローズは長い外の暮らしで食べることにも棲家にも苦労していたようです。彼女はとても飢えていました。
辛い経験をしたにもかかわらず、ローズはとても優しく繊細な個性で撫でられるとすぐに喉をゴロゴロと鳴らしました。
数日を施設で過ごした後、私の自宅で療養と出産の準備をすることになりました。

保護されて3週間後、ローズは2匹を出産しました。
子猫はとても元気でヘラとユリシーズと名付けられました。
2匹とも90gあまりで生まれましたが、翌日には280gまで体重を増やし順調です。
ローズは2匹にありったけの愛情を注いでずっと我が子を抱きしめています。

身体が小さい上にとても痩せていたローズになかなか陣痛が来なくて私たちは合併症を恐れてとても心配でしました。
獣医師と相談して帝王切開を検討し始めたとき、ローズの陣痛が始まったのです。
ローズはたっぷりのミルクを与え、活発な我が子たちを常に自分の傍に置いて抱きしめています。
私は外の過酷な暮らしに苦しんでいたローズが安全で快適な場所で子育てをしている姿にとても幸せを感じています。

存在を知られながら見過ごされていたローズは、イザベラさんたちの助けがなければ生き延びることはできませんでした。
我が子にも私たちにも愛情深いローズは目を開きかけた我が子を誇らしそうに見つめています。