アフリカでツアーガイドとして働いた後、チェコで1か月、クロアチアに6週間過ごした後、私たちはモンテネグロに向かう予定でした。

2018年の終わり、仕事でチェコに出かけていたラディがバスで帰ってくる数時間前のことでした。
私たちはバンを停車しているときいつも扉を開いています。
1匹の子猫が姿を見せるとバンに近付き、しきりに匂いを嗅いでいました。するとそのまま中に飛び込んできて
バンの中を探検し始めたのです。
私は猫を飼ったことがなかったし、旅の暮らしでペットを飼うことをそれほど優先的に考えてはいませんでした。
でもその子猫は帰宅したラディともども私たちの心をすっかり掴んでしまいました。

その後の数日間、私たちは子猫を動物病院へ連れて行ってマイクロチップが無いことを確認し、ノミやダニ、寄生虫の治療をしてもらいました。
さらに予防接種とマイクロチップを装着してもらい、彼女のパスポートを取得しました。

バンの中にはオモチャと魚の骨が描かれた彼女用のボウルが増えました。
子猫は私の膝の上で寛ぎ、私が彼女を呼ぶとすぐにそばまで走って来ました。
私たちの後を付いてまわり、ビーチではリードを付けずに散歩を楽しみました。
夜になると私たちと一緒にフラットスクリーンのプロジェクターで映画を楽しみ私と一緒に眠りました。
まちがいなく、子猫は私たちの家での暮らしを気に入ったようでした。

モンテネグロへの出発が迫ったとき、私たちは子猫をそのまま連れて行くか決めかねていました。
住み慣れた国を離れることが子猫にとって本当に幸せだと言えるのか・・・私たちの旅の暮らしが子猫にとって安全な暮らしといえるのか・・・
私とラディは子猫と一緒にいたいと思いましたが、国境に向かって南へ移動しながらまだ決めかねていました。

クリスマスの数日前、モンテネグロの国境で後ろを振り返った私たちは、大事な忘れ物を取りに再び北上しました。ドイツ人の退役軍人に託した子猫を迎えに、5時間の道のりをひたすらバンを走らせました。

私たちは子猫がバンに飛び込んできたとき自分の家を見つけていたことに気付けませんでした。
そして私とラディは子猫のいない人生が不完全に感じられて仕方がありませんでした。
何よりも、私たちこそ子猫を必要としていたのです。

子猫は迎えに行った私たちのバンにためらうことなく飛び乗りました。
2018年のクリスマス、私とラディにかけがえのない家族が増えました。

私たちは子猫にミリー・クアと名前を付けました。
ミリーは私たちのハイキングについて来ます。途中で疲れたら私のリュックの上に上ります。
リードを使うこともありますが、危険が無い限りあまり必要としません。
一緒に行かない時はバンの傍の木に登り、私たちの帰宅を待っています。
近くに出かけることはあっても、バンでベルを鳴らすとすぐに帰って来ます。
私とラディは訓練する方法を知りませんが、ミリーは理解が早く私たちはその賢さに助けられました。

ミリーが加わった私たちの旅に大きな変化はありませんでした。

私たちのバンは車の内装を仕事にした経験のあるラディと10週間1日12時間の作業ですべて自分たちで仕上げました。
キッチン、シャワー、ダブルサイズのベッドの下にはバイクを収納するガレージがあり、100Lの水も入っています。
300wのソーラーパネル2枚があり、バンの中の電化製品の電力をまかないます。バンは行く先々の電気ステーションで充電できるようにバッテリーを備えています。
私たちはオンラインで仕事をしていて、私たちのデスクからはビルではなく大自然を見渡すことができます。

ミリーは停車すると少し短気で怒りっぽくなり、エアコンが苦手なので風邪をひきやすくなります。
本来の遊び心も影を潜めてほとんど昼寝をして過ごしています。
しかし、外に出ると目が輝くのが分かります。
ミリーは走り、探検に忙しく動き回ります。すべてのものに興味を持ち、私たちに対してより愛情深くなります。
だけどそれは私についても言えることで、私とミリーはかなりの部分、個性を共有しているからこそとても近い存在なのです。
ミリーは私の生きがいです。

私たちが次の場所へ出発するとき、ラディが運転を始める前のルーティンがあります。
カウンターでコーヒーを飲み、ウォーターサーバーをチェックして、PCのGPSをセットします。そして最後に、ミリーの居場所を確認します。大概はダッシュボードの上で寛いでいますが・・・

子猫が見つけた家は、大陸をまたいで走る家でした。子猫は家族の人生をより充実させ、なくてはならない存在になりました。
私たちの旅を見守り応援してくれるたくさんの人達がミリーと出会いと再会をとても喜んでくれました。

私たちはモンテネグロからギリシャへ入り、この夏はヨーロッパを横断する計画を持っています。
私たちがPCに向かう間、お昼寝をしているミリーの後ろには私たちが愛してやまない空が広がっています。