静かな森の中を走っていたとき、道の脇に生い茂ったワラビの中から大きな叫び声が聞こえてきました。最初は鳥の鳴き声かと思いましたが、何の鳴き声なのかが気になり自転車を降りて辺りを調べてみました。すると、怯えた様子の小さな子猫が鳴いているのを見つけました。
子猫は私たちを怖がっていました。夫は地面に横になって子猫に向かって話しかけました。しばらくすると子猫は私たちが危害を加える様子が無いことに気付き、夫の方へ近付いて来たのです。
子猫は夫によじ登り、爪を立ててしがみついてきました。
私たちは子猫を連れて帰りたいと思いました。

私たちは子猫を運べるものを持っていませんでした。競技用のジャージのスーツを着ていたのですが、その中に子猫を安全に閉じ込めるのは不可能だと思いました。私たちは他に選択肢がないと結論し、子猫を隠れていた場所へ戻して、急いで自宅まで車を取りに走りました。
どうかどこにも行かないで・・・私たちは祈りながら自転車を走らせ、家につくなり箱を掴んで森へ取って返しました。
夫が車を降りて子猫を呼ぶと、ワラビの茂みから子猫が出て来て夫に向かってへ走ってきました。

子猫はまるで自分の家へ帰るお迎えを待っていたように夫に抱きついてきました。
最初の夜、子猫は夫の肩や胸の上で丸くなり、感謝の気持ちを込めてキスするように小さな舌でペロペロと舐めていました。
私たちは子猫にミニキティと名前を付けました。

その後の数日、ミニキティは可能な限りお腹に入るだけの食べものとミルクを入れ、睡眠不足を補って眠りました。

森の中でひとりぼっちでいたことがよほど怖くて淋しかったのでしょう。目を覚ましているときは常に私か夫の傍にいて、それで安心と安らぎを感じているようでした。

それ以来、ミニキティは私たち家族の誰にでも抱きしめられるようになりました。
私たちの娘、一緒に暮らす猫や犬、ぬいぐるみさえ抱きしめて離しません。

ミニキティはとてもフレンドリーで遊び心があります。
毎朝、私たちが目を覚ましたことに気付くと彼女は階段を駆け上がり、喉を鳴らして私たちに頭を擦りつけたり頭突きをして挨拶をします。
ミニキティのゴロゴロはとても大きな音なんです。

ミニキティは家族に愛情を注がれ、それ以上に私たちの一日を明るくしてくれる愛すべき個性の持ち主です。私たち家族の中で一番年下のミニキティは私たち家族の誰からも愛される存在になりました。

人気のない森の中で小さな子猫を見つけたとき、私たちはすぐに捨てられたのだと思いました。
1年が経ったとき小さかった子猫はすでにミニサイズではありませんが、愛情深く、家族から愛されていることはずっとかわりません。
子猫は森の中で自分の帰るべき家を見つけました。