少し離れた場所に車を停めて近付いてみると、子猫の周囲にほかの猫は見当たりませんでした。
子猫が居たのは1日に何十人もの人や車が通るある事務所の前でした。残念ながら、通りかかった人は誰も子猫のことが気にならなかったようです。
でも私には子猫が助けを必要としていることが一目で分かりました。私が近付くと子猫は急いで近くに停めてあった車の下へ逃げ込みました。
も、それ以上私から離れようとはしませんでした。

私は子猫がいる車のすぐそばにドライフードを入れたトラップを置き、少し離れて待つことにしました。
お腹を空かせた子猫はドライフードの匂いに気付くとすぐに車の下から出て来て、次第にトラップの中へ入っていきました。
子猫の後ろでトラップの扉が閉まっても、子猫は構わずドライフードを食べていました。

子猫の様子を確かめるためにトラップの中から掬いだすと、子猫は怖がるどころかまるでホッとしたようにリラックスしました。
子猫はずっと誰かに関心を持ってもらうのを、誰かに助けてもらうのを、誰かの愛情を待っていたに違いありませんでした。

子猫はノミやシラミに覆われ、感染症のために両目が目ヤニで塞がりそうでした。お腹からは寄生虫が見つかり貧血のために歯茎が白くなっていました。
私は子猫をお風呂に入れ、ノミの治療と駆虫をしました。
あまり食欲がないのでビタミン剤を配合した栄養価の高いミルクを与えるととても気に入りました。

私は子猫にエストレラと名前を付けました。エストレラはトラップを出たときから撫でられたり、お腹を擦られると喉を大きくゴロゴロと鳴らしました。お風呂に入れたときもからだを乾かす間、ずっと喉を鳴らしていました。
エストレラが一番欲しかったのは誰かに愛されていると感じることでした。

1週間も経たないうちにエストレラの目はきれいになり、ノミやシラミも完全にいなくなりました。食欲が増してようやく体重が増え始めていますが、今でもビタミン入りの子猫用のミルクを気に入っています。
エストレラはひとりぼっちだった淋しさを埋め合わせようと、私たちが傍にいるときはずっと喉をゴロゴロと鳴らしています。

例えば、車の運転をしているときも、電話で誰かと話しているときも、人は頭の中で他にもたくさんのことを考えているかもしれません。
エストレラはたくさんの人に見過ごされながらずっと愛される日を待っていました。
自分の居場所と愛情を得たエストレラは、汚れてうずくまっていた子猫だったことが信じられないほど明るく輝きそしてとても優しい子猫です。
私はエストレラがずっと輝き続けるような出会いがあることを願っています。