裏庭の猫たちはその猫を全く気にしていないようで、自分が食べ終わる前に彼が来て食べるのを待っていました。
フワフワのその猫はひどい上気道感染症にかかっているらしく、呼吸が苦しそうで目ヤニがひどく、鼻が詰まっているらしく匂いに鈍感でした。彼はウェットフードに興味を示さずドライフードばかり食べていました。
裏庭にある冬用のシェルターのひとつを棲家にしているようでした。

猫は私が近付こうとすると逃げてしまいましたが、彼のふとした仕草からどうやら野生ではないと思いました。
普通のトラップは避けられてしまうので段ボールやビニールでカモフラージュしたトラップを仕掛けました。

数日かけて無事に捕まえることができましたが、ケージの中で悲しそうに鳴く彼の声に私は胸が痛みました。
彼は助けを求めているように見えましたが、それでも私たちとの距離を保ちたいようでした。
ケージの扉を開けていても外に出ようとはしなかったのです。
最初の夜はそのまま眠ってもらうことにました。
翌日、レスキューグループのメンバーが猫を動物病院へ連れて行ってくれることになりました。

猫は推定1~2歳、痩せすぎと上気道感染症と診断されましたが、幸い命に関わる感染症には全て陰性でした。ノミの治療といくつかのワクチンを受け、抗生物質と目の軟膏、ビタミン剤を処方されました。
彼が再び人間を信頼してくれることを願い、ゆっくりと休養し健康を取り戻して体重を増やすことに専念してもらいます。

私たちは彼にジュリアスと名前を付けました。
嬉しいことに彼はクッションで寛ぐ勇気を持っていました。

猫の上気道感染の回復には1週間から3週間を要し、その間ほかの猫とは離しておく必要があります。
ジュリアスの場合、獣医師は抗生物質を処方し十分に休養させるように言いました。

目と鼻の周りを湿らせた布で優しく拭き、数回ブラッシングしただけで私たちが想像していたとおり、とてもハンサムな紳士が隠れているのが分かりました。
私たちは最初の数日間は安静にして食べてもらうだけにしました。

ジュリアスの顎の下や尾の周りにもつれた毛の塊がいくつかありました。
ブラシで簡単に取れるものもありましたが、頑固なものは慎重にハサミを使ってトリミングしました。ジュリアスはブラッシングをするとはじめは吠えるように鳴きましたが、慣れてくると、私がブラシを手に取るだけで喉をゴロゴロと鳴らすようになりました。

ジュリアスは2回処方された抗生物質によく反応し、次第にエネルギーレベルと食欲が増していきました。
最適な栄養と水分補給のためにウェットウードへの移行をはじめ、ドライフードはおやつとして与えました。

3度目の動物病院では以前に比べずいぶん人懐っこくなったユリウスに、獣医師が魅了されていました。

数週間の休養と毎日のブラッシングがジュリアスを彼本来の姿に戻していきました。

上気道感染症がほぼ完全に治癒し、食欲と体力を回復したジュリアスは避妊治療を受けました。

病気の猫を助けたとき、回復の証を見る最高の瞬間は猫が再び遊び始めたときです。
ジュリアスは色々なオモチャで私たちと遊んだり、ひとり遊びをするようになりました。

ジュリアスは新しい家族を探す時期を迎えました。

5月5日、ジュリアスは年上のヒューゴが待つ永遠の家へ旅立って行きました。
家族は数週間をかけてジュリアスとヒューゴを紹介し合うと話していました。

よく、猫との絆ができてしまうとさよならが辛いから絶対に養育はできないと言われます。
私たちもさよならは簡単ではありません。しかしジュリアスが永遠の家で注目されていると聞いて私たちはとても嬉しいです。私たちはジュリアスだけに注目できません。
なぜなら街にはジュリアスのように注意を必要とする猫がたくさん待っているからです。