恐らく誰かに捨てられてしまったのでしょう。撫でると小さく鳴いた猫は、かつて体格がよかったであろう大きな体から飢餓と脱水のために筋肉を失っていました。
私はそこから10分ほどの自宅へキャリーケースを取りに走り、男性が見守る中、缶でキャリーケースの中へ誘導することができました。

テディの頭には戦闘痕があり、彼の左耳も傷のためにカリフラワーのように変形していました。
食欲旺盛で自分でトイレを使えました。しかしトイレの外で用を足すこともあり、マーキングのためなのか健康上の問題が原因なのかはこの時点では分かりませんでした。
ケージの中に落ち着いたテディをきれいにしたいと思いました。
私と妻はお風呂に入れる前に念入りなブラッシングをして4回シャンプーを使いましたが、それでもテディの脂質の汚れはとても頑固でした。

数日後、診察を受けたテディは血液検査の結果、命に関わる感染症にはすべて陰性でした。しかし、腎不全が原因の貧血のために体に十分な酸素を供給することができず常に倦怠感を抱えていることが分かりました。
獣医師はテディが4~6歳だと言いましたが、私たちはもっと高齢だと思っていました。獣医師は4週間分の抗生物質を処方し、週に1度経過を見るために通院するように言いました。

テディの旺盛な食欲は私たちにとって大きな希望でした。テディは抗生物質やビタミンに良く反応して体重は増えませんでしたが赤血球の数を少しずつ増やすことができました。

テディは去勢されていないのでマーキングのため通常より皮脂分泌が活発でした。しかし彼は身づくろいをしなかったので私たちは彼のブラッシングとお風呂が欠かせませんでした。
3週間が経った頃、テディが朝食の後に短い毛づくろいををしているのを見たとき、とても良い兆候なので長く続けばいいと思いました。
最終的にテディが本来のフワフワな毛並みを取り戻すまでには数か月がかかりました。

2か月が過ぎ、テディの尿路感染症はかなりの改善を見せましたが、腎機能の低下と貧血状態は思ったほどの回復を見せませんでした。
しかし、テディは週ごとに少しずつ元気を取り戻していました。テディは養育ボランティアの家で暮らすようになり、彼らは深い愛情を注ぎました。
この家には別の部屋で2匹の猫が暮らしていました。闘病のためにほかの猫との接触を避けてきたテディは、ここで友達を作りました。
この時期、手術中の特別なケアを受けながらテディは避妊治療を受けることができました。少なくともこれで余分な皮脂の問題は解決されました。

4か月後、超音波検査とレントゲン検査を受けたテディは左腎に結石が見つかり、右腎に狭窄が見つかりました。このふたつが腎機能の低下と高血圧の原因と考えられました。
私たちは別の治療法を求め、テディはNYの動物医療センター(AMC)で外科の専門医の診察を受けることになりました。
テディはそれまで獣医師が処方した特別な療養食を食べ、抗生物質と血圧の薬の服用と輸液を続けました。
幸いにもテディは療養食の味を気に入ったようです。
一緒に暮らす猫たちは穏やかで優しいテディに甘えるようになり、テディはほかの猫の身繕いをしました。

2018年の終わり、テディの食欲は衰えることはありませんでしたが、検査結果では尿にわずかに血液が混じり尿管の炎症と狭窄が悪化していることが分かりました。獣医師たちは心雑音があることを発見しました。

新しい年を迎えた2019年1月23日、テディはAMCで腎臓から膀胱へ皮下バイパスを取り付ける手術を受けました。これにより閉塞した尿管を迂回して腎臓から膀胱へ正常な状態で尿が流れるようになります。
病院に着いたときからテディは普段と全く変わりませんでした。彼はまるでそれから起こることを知っているかのように終始とても落ち着いていました。
獣医師たちは自信に満ちで手術に臨みましたが、私たちは手術を終えたテディが麻酔から覚めるまで緊張の中にいました。テディがいつもの穏やかな表情を見せたとき、私たちはそれまでの緊張から解放されて深い安堵のため息をつき、手術の成功にとても興奮しました。
テディは集中治療室から病室へ移され3日後には退院することができました。

術後のテディは食欲に左右されずに必要とするすべての栄養と水分を直接胃に送る細いチューブが装着されていました。テディの回復は獣医師が満足するのに十分で、入院中から自分で食べたがっていました。
手術から1週間後、再びAMCを訪れたテディは腎臓が正常に機能していることが確認され、獣医師たちはテディの順調な回復と食欲を喜んでいました。テディはチューブが外され、自分で食べられるようになりました。これで薬の数も減りました。
さらに1か月後の検査では赤血球の数が10%増加し、腎機能に関する数字が安定していることが確認されました。
手術から2か月が経つと、テディは控えるように言われていた遊びを楽しめるようになりました。

はじめての出会いから7か月、テディと私たちは本当の家族でした。私たちの真の目標はテディに愛情を注ぐ家族のもとへ送り出すこと。病気と闘う日々を過ごすのではなく普通の猫として暮らせるようになってほしいとずっと願ってきました。
私たちはテディの病気を理解し、AMCでの定期的な検査を受けるためにNYで暮らしている人を希望して家族を探しました。
そして出会いから227日、テディはウィリーというフワフワの白い猫が待つNYの家族のもとへ旅立って行きました。
テディはずっと静かな戦士として戦いました。そして彼がここまで至るにはテディの未来を信じてくれたたくさんの人の支えがありました。

テディ、おかえりなさい、きみには永遠の家とあたたかい家族がいる。