AAATへやって来た子猫は生後約3週、下半身が麻痺しているうえにひとりで食べることができませんでした。
家族はツンドラ猫リハビリ・養子縁組センターに助けを求め、彼らと協力して母猫とほかの子猫達を保護する手助けを始めました。母猫は少なくとも生後3~4週間子猫の麻痺を分かった上で育て続けていました。私たちは母猫をがっかりさせたくありません。子猫を必ず健康に戻そうと思いました。

獣医師の診察を受けた子猫は、後肢の筋肉の発達がなく感覚もありませんでした。X線検査の結果損傷はかなり以前のものだと分かり、獣医師は生まれるときに痛めたものではないかと考えました。残念ながら子猫の後ろ足は修復できるものではありませんでした。
子猫は2、3時間ごとに注射器で離乳食とミルクを与えられ、自分でも少し食べられるようになってきましたが体重はまだ290gにも届きませんでした。

私たちは子猫にハーパーと名前を付けました。下痢の症状がおさまってくるとハーパーは自分でミルクを飲めるようになり、施設で暮らし始めて10日後には体重を430gまで増やすことができました。

当初ハーパーのお腹はパンパンに膨らんでいて私たちはとても心配しました。私たちはハーパーの身体の形成が普通の猫とどう違うのかについて獣医師と話し合いました。ハーパーは一部独特の体の形成を持っていて、後ろ足の筋肉が腹部へ向かって存在していたのです。彼の成長を待って手術をすることになりました。

ハーパーは後ろ足の麻痺に負けない明るさで周囲の人の心をしっかりとつかんでしまいました。ボランティアの人たちがハーパーのために本物そっくりの犬のぬいぐるみを持ってきてくれました。ハーパーはとても喜び、温熱ディスクと一緒に毛布にクルクルと巻かれてぬいぐるみに寄り添うのが大のお気に入りでした。オモチャで遊べるようになるとハーパーは後ろ足を気にすることなくとてもアクティブに過ごしていました。

生後8週を越えたとき血液検査を受けたハーパーに感染症や命に関わる病気は見つかりませんでした。予防接種を済ませ、やっとほかの猫や犬と接することができるようになりました。
施設で暮らすメスのハスキー犬シンダーは人生の大半を外で過ごしていましたが、今では施設に来る子猫や子犬のお世話を手伝ってくれています。シンダーにハーパーを紹介すると、ハーパーはすぐにシンダーの腕の中に入り込み喉を鳴らしました。シンダーは腕の中のハーパーを優しく見つめ微笑んでいるように見えました。

施設で暮らし始めて3ヶ月半が過ぎたある夜ハーパーに異変が起こりました。彼は突然無気力になり、喘ぎ、激しい痛みを感じていました。動物救急病院へ連れて行くと、ハーパーのカリウムの数値がとても高いことが分かり、獣医師たちは鎮痛剤とカリウム値を下げる薬を投与しカテーテルを使った洗浄を行いました。獣医師は血液検査の結果に懸念を示し、その夜は集中治療室で治療が続けられました。翌朝、私たちが会いに行くとハーパーは元気を取り戻していました。

ハーパーが十分に成長したとき、私たちは行動支援のために彼の車椅子を作りました。時間をかけて彼に紹介すると、ハーパーはすぐに走り回るようになりました。
ハーパーが車椅子から戻るとシンダーはまずハーパーの足を舐めてあげました。シンダーはハーパーのあらゆるいたずらっぽい行動を我慢して無条件に愛情を注いでいました。シンダーは明るく愛情深いハーパーを愛し、ハーパーは溢れんばかりの愛情を注がれました。

ハーパーの母猫と兄弟たちは探し続けられ、最終的にすべてがお世話を受けられるようになりました。
ハーパーの手術は無事に成功し、シンダーに寄り添ってもらいながらまたひとつ困難を乗り越えました。
生後6か月を過ぎたハーパーはまだシンダーに赤ちゃんのように甘えています。シンダーはハーパーと一緒にいることが好きなだけでなく、彼に躾とも見える行動を見せています。ハーパーはシンダーという犬のお母さんからたくさんのことを学んでいます。ハーパーはとても優しく成長しました。シンダーの努力が大きく実っています。