歯科大学の2年生の時でした。私は猫が苦手で一緒にいたこともなければ一緒に暮らしたこともありませんでした。ソフィーの飼い主は殆どの時間を自宅での勉強に費やしていた私にキャットシッターを引き受けてほしいと言いました。ソフィーは5.9kgもあるポッチャリ猫でした。
ソフィーを預かり始めたとき、私はすぐにソフィーが何にでも頭を擦りつけていることに気が付きました。ソフィーはとても友好的な猫だったのです。私が徹夜で勉強するときソフィーは殆どの時間を一緒に過してくれました。私はソフィーといる時間がとても心地よく感じるようになっていきました。

当時私はハンドスキルの実践に加えて平均週3回の試験を受けていました。猛勉強を続けていた私は心身ともに疲れていました。私は一日を始めるのが怖くなり授業をさぼるようになりました。家を出るのも怖かったので患者の予約をキャンセルするようになってしまいました。それまでの私は最前列のセンターで講義を受けるために必ず15分前には教室に入っていました。なぜ自分が変わってしまったのか私には分かりませんでした。

私は学校の成績に影響を与える個人的な問題をたくさん抱えていました。私は注意欠陥・多動性障害(ADHD-PI:多動性(過活動)や衝動性、また不注意を症状の特徴とする神経発達症もしくは行動障害)です。私は読解に人の倍の時間がかかります。私にとって多くの講義で歯の模型に穴をあける練習をする時間を確保しながら読解に付いて行くのはとても困難なことでした。私には人一倍の努力が必要でした。

そのときソフィーはいつも「そこ」にいました。ときどき頭突きをして、ただ私の傍にいてくれたのです。
ソフィーは私が一番必要としているときにはいつもそこにいて私を慰めてくれました。

大学4年の時、私は初めてクリスマスをひとりで過ごしました。私はクリスマス休暇の間にNBDE(National Board Dental Examination歯科国家試験)のための勉強をして卒業要件を満たそうとしていました。
そんなときでした。ソフィーの飼い主がひとつの決断をしたのです。
ソフィーが望んでいることだから、私がソフィーの飼い主になるべきだと言ってくれたのです。
私が必要としているのと同じくらい、ソフィーは私と一緒の時間を愛してくれていたのです。
元の飼い主はそんなソフィーにいつも最高に幸せでいてほしいと願ったのです。

私はストレスがたまるとドレスを着たソフィーが家の中を歩き回っているのを見て癒されました。13歳のソフィーは何枚もドレスを着こなしました。
それから段ボールでソフィーのための家を作りました。ソフィーは私が作っている様子に興味津々で、私はそんなソフィーを見るのが楽しみでした。
ソフィーがオシャレなテントをもらったので、部屋の中にテントを張り、その中に食べものと水、猫草、そして彼女のドレスをそろえました。ソフィーはそのテントを気に入ってくれ、私は喜んでいるソフィーを見て癒されました。

私はなかなか外に出かけることができませんでしたが、ソフィーはそんな私を外に連れ出そうとしました。ソフィーは外で草を食べたり、鳥に忍び寄ったり、顔を木の枝に擦りつけたりするのを楽しみにしていて、外に出たい時はドアの前で容赦なく鳴き続けました。たとえ5分、10分の短い時間でもソフィーは外に出ようとするので私はできるだけソフィーに従うことにしています。それはいつも私たちふたりにとって小さな冒険のように感じます。

こうしてソフィーは私が困難にぶつかるたびに私の傍を離れず希望への道を探ってくれました。
混乱し、頭の上に果てしない暗雲が立ち込めているように思えた日々、ソフィーの存在は私に希望と幸せを忘れさせませんでした。
私は2017年、歯科大学を卒業することができました。

ありがとう、ソフィー。
あなたは私の人生を救ってくれました。