その日はとても暑い日でした。
夕方になっても気温は43℃もありました。
私に気付いた小猫は鳴いて私の方へ歩こうとしましたがほんの2、3歩でまたすぐに座り込んでしまいました。

母猫を探してみましたが、どうしても見つけることができませんでした。
置き去りになったのかもしれない・・・私は子猫を連れて家に入りました。
水と柔らかい食べものをあげました。

翌朝、子猫を動物病院へ連れて行きました。
子猫は生後3週間、ひどい脱水状態で極度の栄養失調のために体重が200gに届きませんでした。
ノミに覆われ、お腹に寄生虫がいました。
治療をしてくれた獣医師は私が子猫を連れて帰らなければ恐らく死んでいただろうと言いました。
ミルクと高蛋白のピューレをもらいました。
私は猫を飼ったことがなかったし、飼うつもりもなかったので子猫が元気になって引き取り手を探せるようになるまでしばらくお世話をすることにしました。
私は子猫にクロエと名前を付けました。

その後数日は昼夜を問わず時間ごとにミルクを飲ませました。
最初の2、3日はほとんど寝ることさえできませんでした。
困ったことに、クロエは食べものに興味を持たなかったので少しでも食べさせようととても苦労しました。
私たちはクロエを毛布やセーターで巻いて温め続けました。
クロエがオモチャに興味を持って遊べるようになるまで4日ほどかかりました。

生後1か月を迎えたクロエの体重は280g。
平均よりかなり小さいクロエにとって食べることはとても重要でした。
私たちはほぼ1か月の間、3~4時間ごとにクロエにミルクを飲ませ続けました。
私はクロエを健康に戻すことに一生懸命になっていました。
睡眠不足が辛くてもクロエの体重が増やすことに懸命でした。
そして、クロエがすでに家を見つけていることに気付きました。
私たちはクロエを家族に迎えることを決めました。

少しずつ食欲を増し、体重を増やしたクロエは生後7週を迎えるとアパートの中を探検し始めました。
私たちがキッチンに立つと、足元にやって来て何をしているのか興味津々で見つめていました。
クロエはひとりでいるのを嫌い、私が家の中を歩くとずっと後を付いてまわりました。
私たちが座ると私の足の上に横たわるのがお気に入りでした。

私たちが仕事から帰ると、クロエはいつも落ち着かない様子を見せました。
ひとりでいることを嫌うクロエに私たちは友だちが必要だと思い、その年の11月、クロエより2週間年下のオスの子猫を家族に迎えました。
タキシードのクローリーに、はじめの数日シャーッと威嚇していたクロエでしたが、お互い打ち解けると抱き合ってお昼寝をする大の仲良しになりました。

すっかり成長したクロエとクローリーは今でもとても仲がよく、食事も、お昼寝も、窓際で外を眺めるのもいつも一緒です。
クロエは淋しさを感じるヒマもありません。
猫を飼うことを考えたこともなかった私は、彼らのいない暮らしを想像もできなくなっています。

クロエと出会ったとき、私は小さな子猫を助けようと思っていました。
でも、クロエを健康に戻すと決心したときから私の中で少しずつ何かが変わり始めていました。
私が彼女を必要としたときクロエは私の前に現れたのです。
うまく言えませんが、私はクロエに救われたと思っています。
出会いが人生を変えることを私はクロエに教えてもらいました。