子猫の名前はトリニティー、とても怯えた様子でした。
シェルターによると飼い主が見つからない理由はふたつありました。
ひとつめの理由はトリニティーが『子猫らしくない』と言われること、ふたつめは誰かがケージの扉を開けようとするとその人に向かって「シャーッ」と声をあげて威嚇するからだと言います。
手術の理由は分かりませんでしたが、ふたつめの理由を聞いて聞く必要はないと思いました。
私はトリニティーが虐待を受けたのかもしれないと思いました。
もしそうなら、心に大きな傷を負っているでしょう。
夫と私は動物病院に連絡を取り、自宅に連れて帰る前にトリニティーの予約を入ました。

トリニティーの肩甲骨の辺りには傷の跡があり、尻尾の先に白癬(白癬菌による感染性の皮膚病)らしき白い斑点がありました。
幸い診察をしたかかりつけの獣医師は、トリニティーに健康上の問題はほとんどないと言いました。
尻尾の斑点はやはり白癬だと診断され薬をもらいました。
薬を塗るとトリニティーは叫び声をあげましたが、獣医師は珍しいことではないと言いました。

自宅に着いたトリニティーはすぐに最初の隠れ場所を見つけました。
90kg以上あるテレビの下や後ろに身を潜めてしまいました。

数時間後トリニティーはテレビの後ろから身をかがめて出てきました。
ようやく自分がいる新しい場所が自分の家だと分かったようでした。

トリニティーをほかの猫に紹介するのは数日待つことにしました。
私たちは組み立て式のテントの中に食べものと水、猫用のベッド、トイレ、オモチャ・・・いろいろなものをそろえました。
トリニティーは自分専用の「個室」が気に入ったようでした。
少しずつトリニティーは遊び始め、のびのびと過ごすようになりました。

その日はトリニティーとじゅうぶん遊んだあとにガイアとチューバッカに紹介しました。
このときトリニティーは生後2か月、ガイアは2歳半、チューバッカは2歳でした。
チューバッカはトリニティーと友達になりたくて積極的にアプローチをかけました。
そのおかげでチューバッカは小さな親友と驚異的な速さで絆を築いていきました。
この日のトリニティーは1日中遊んでガイアとチューバッカに会えたことに興奮した後、疲れ切った様子でした。
私たちはようやくトリニティーが家族の輪に加わった気がしました。

トリニティーの白癬は治療をしているにもかかわらず次第に広がっているように思えました
驚いたことに、動物病院でトリニティーがキャリーケースから出るとしっぽの先端部分がポトリと落ちてしまったのです。
獣医師は何が起きたのか詳しく調べてくれました。

恐らくケージの扉に挟まれたトリニティーの尻尾の先は肉が腐ることなく乾燥し、骨も皮膚と同様組織が壊死していたそうです。
翌日、獣医師はトリニティーに残っていた壊死した部分を全て取り除く手術をしました。

家のいたるところに猫用のベッドがあるにも拘わらず、トリニティーが次に見つけたお気に入りの場所は私たちのベッドでした。
トリニティーは右の前脚が無いために、自分の右耳を掻くことができません。
幸せなことにガイアとチューバッカはトリニティーの耳をきれいに掃除します。
2匹はときどきしつこいくらいにトリニティーの世話を焼きます。

数週間後、チューバッカは何週間も体調を崩してしまいました。
ガイアがトリニティーのくしゃみを顔で受けて次の日には目に感染症の症状が出たことでトリニティーが猫風邪のキャリアだったことが発覚しました。

仲の良い3匹が完全に健康を取り戻すまで約4ヶ月が必要でした。

心無い人間に傷つけられ人間に怯えていた小さな子猫は、自分の家を見つけて、4か月後に見違えるほど自信に満ちた猫に変わりました。
私たちの大切な女の子トリニティーは2013年5月5日頃、初夏に生まれ6か月と2日で
体重が約2.7kgになりました。
トリニティーは愛されるに値する「完璧な」猫です。