何かの叫び声はとても切実でした。
すぐに助けが必要な状態なのだと思い、鳴き声のする方へ歩いて行くと1m近く降り積もった雪で埋まっている排水溝に辿り着きました。
姿は見えませんでしたが、叫び声がさらに大きくなっていたのでそこで間違いないと思いました。
反対側に渡ってみると雪と岩に挟まれて動けなくなっている小さな子猫を見つけました。
よく見ると黒い子猫のようです。
大きな瞳が暗闇の中に浮かび上がって私に向かって必死に助けを求めていました。

子猫のところまで雪の中を慎重に歩き、挟まれている岩を取り除いて子猫を抱き上げました。
パトカーに戻って暖めると震えていた子猫はホッとしたように鳴くのを止めました。
体を摺り寄せ、私によじ登って甘えてきました。
その夜は私にぴったりと体をくっつけていました。

私は動物病院で診察を受けたら引き取り手を探そうと思っていました。
署に戻っても子猫は私の傍を離れようとしませんでした。
私が子猫をニットのキャップでくるむと子猫は鼻に顔を擦りつけて喉をゴロゴロと鳴らしました。
私は仮眠をとって子猫と動物病院へ行くことにしました。

幸い、診察を受けた子猫に健康上の問題は見つかりませんでした。
署に戻った子猫はますます私の傍から離れようとしなくなりました。
背中に上ったり、肩に上ったり、私の胸で体を丸めたり。
私が一緒でなければ昼寝もしようとしませんでした。

私はしばらく子猫のことを真剣に考えていました。
私が子猫を見つけてから、子猫は私から決して離れようとしませんでした。
私は子猫を迎えてくれる家を見つけようと思っていましたが、子猫が望んでいるのは私と一緒にいることでした。
私は子猫に『No』とは言えませんでした。

私は子猫にドーナツと名前を付けました。
そして、ドーナツは私の家族に加わりました。

ドーナツはその後の数日で新しい家族との暮らしに馴染んでいきました。
私が家にいるときドーナツは相変わらず私の傍から離れようとしません。
私の腕の中で大きな目を輝かせています。

冷たい雪の中でひとりぼっちでいたドーナツは必死で助けを求めていました。
寒くて怖くてどんなに心細かったでしょう。
ドーナツの鳴き声と暗闇の中のまなざしを見つけられて本当に良かった。
ドーナツは望んでいた家と家族を雪の中で見つけました。
家を見つけたドーナツはたくさんの人に幸せを届けました。