ゼウスはサムと抱き合って遊ぼうとしましたが、サムはいつも無関心でした。
そしてゼウスはいつもサムをからかうのが好きでした。
だけど私たち家族にはゼウスはただサムともっと仲良くなりたいと思っているのだと分かっていました。

ゼウスはサムに対して愛情表現が素直じゃないというか、不器用だったのかもしれません。
その点、サムの愛情表現はとても寛容でした。

2匹はお互いがとても好きで見えないところで深い絆を築いているのは確かでした。

サムが亡くなった日、私たちはサムを毛布でくるんでもらいました。
母が部屋に入っていくとサムの上で眠っているゼウスを見つけました。
ゼウスの願いは叶いましたが、その後のゼウスはとても淋しそうでいつも母の後を付いてまわりました。
時にはサムを探しているのか鳴き続けることもありました。

サムが亡くなって2か月が過ぎた頃、ゼウスは弟の本棚でサムの遺品を見つけました。
私の弟はサムが亡くなったとき、サムがずっと着けていた首輪を部屋の本棚に置いていました。
首輪を見つけたゼウスはしばらく匂いを嗅いで確信したのか本棚に飛び上がりました。
床に落ちた首輪に体を擦りつけてまるでサムと一緒だった時間に戻ったようでした。

サムの匂いを嗅いだだけでゼウスの心が元気を取り戻すことができたのか、私たちには分かりません。
でも、首輪を見つけたゼウスはサムの匂いをかいでとても嬉しそうでした。
ゼウスの心が癒されたのは間違いありません。

私はゼウスの喜ぶ姿に涙がこぼれました。

サムは2度と戻って来ることはありません。
だけどサムとの思い出が消えることもありません。
私たち家族もサムを失った悲しみからまだ完全に抜け出すことができませんが、ゼウスと一緒に少しずつ前へ進んでいます。

首輪はサムからゼウスへの友情の証、なのかもしれません。