私は野生猫のお世話をする地元の団体Boston's Forgotten Felines (BFF)の人たちと、野良猫たちに食べものを与えたり、避妊治療をする活動に参加していました。
OBはいわゆる生来の野良猫で3年ほど前から見かけるようになりました。
彼はいつもボストンのどこにでもある通りで暮らしていました。
私がOBに食べものをあげるとき、彼をいじめる猫がいたので場所を移して与えなければなりませんでした。

しばらくして、私はOBにトラップを仕掛け、避妊治療を受けてもらいました。
OBの手術をした獣医師は、一度も飼われたことのない野生の猫のようだから通りへ戻してあげるようにと言いました。
私はOBを通りへ帰し、その後も見かけると食べものを与えていました。
彼とは深夜に会うこともあれば、何日も会わないこともありました。
OBと会うごとに元気でいることを嬉しく思っていました。

特別フレンドリーということもなく、なんとなく私の周囲に姿を見せていたOB。
そのOBがある日私の庭に姿を現して私を驚かせました。

私が庭に座っていると、OBが現れて私の足に摺り寄って来ました。
突然私との距離をぐっと縮めてきたOBに本当にびっくりしました。
私が立ち上がって家の中に入るとOBは私の足にじゃれてきました。
それ以来、彼はわたしの庭から離れなくなりました。

OBの変化に喜んだ一方で私にはすぐにOBを受け入れられない事情がありました。
当時、私はグラマーという猫を育てていて小さな飼い犬と暮らしていました。
OBは私の犬はときどきOBに攻撃を受けていたのです。
仕方なく、私は庭にOBのための家を用意しました。
だけど。
家の階段で寝ているOBを見るたびに私は心を痛めました。
OBの背中は「家に入りたいよ」・・・そう言っていたのです。

ようやくグラマーに新しい家族が見つかり、OBを家に入れることができました。
私たちと暮らし始めたOBは通りで暮らしていた面影はもうどこにもありませんでした。
だけど私は気付いていました。
OBには彼だけを愛してくれる家が理想なのだと。

そんなとき、友人のソフィーが遊びに来ました。

ソフィーが座ると、OBは彼女の膝に飛び上がりました。
ソフィーはその一瞬でOBに心を奪われてしまいました。
それからソフィーはOBに会うために何度も私の家を訪れるようになりました。
私はOBに特別な想いを懐いていて、彼には完璧な家族を見つけたいと思っていました。
ソフィーは私の問いにすぐにYESとこたえました。

OBがソフィーの家に到着したとき、彼はすぐにソファに飛び乗ってソフィーのボーイフレンドにぴったりと寄り添いました。
OBは長いときを経てようやく自分の家に辿り着いたのです。

ソフィーとボーイフレンドに囲まれたOBは、かつて野良猫だったことが想像もできないほど自信に満ちています。
OBには家族に囲まれてはじめて開花する個性が眠っていたのです。
私と出会った野良猫はずっと求めていた理想の家を見つけ、そこへ辿りつくまでの旅路さえ完璧でした。