母は百貨店の裏手で白とオレンジのボロボロの野良猫を見かけると言っていました。
野良猫はとても警戒心が強く人間を怖がっていました。
きっとお腹を空かせているだろうと、母は野良猫に食べものをあげるようになりました。
最初のうちは置いていった食べものを野良猫がちゃんと食べているのか確かめることさえできませんでした。
遠目に見るボロボロの野良猫を母はライオンのように美しいと言っていました。

母は野良猫をブロンディと呼んでいました。
ブロンディは百貨店の裏に置いてある大型トラックの下で暮らしているようで、母は相変わらず遠くからブロンディを見るしかありませんでした。
それでも母はブロンディがいつか心を開いてくれると信じているようでした。
数か月経った頃、食べものを置いていく母をブロンディは一定の距離を保ったまま待つようになっていました。

ブロンディは少しずつ母を認め始めていました。
そして、警戒心を解いたブロンディは食べものを持って行った母のところへ歩いてきたのです。
母がブロンディの背中を撫でて頭を掻くと、母の足に体を摺り寄せてきました。
出会いから14か月、ブロンディは母の想いをようやく受け止めてくれました。

それから母はブロンディのところへ行くと何時間も一緒に座って過ごしました。
ブロンディの友人、私たちがブラッキーと呼ぶ黒猫が食事に加わることもありました。

母はそこで何時間もブロンディとおしゃべりをして過ごしました。

母はブロンディを家に迎えるときが来たと思いました。

私たちはキャリーケースを使ってブロンディを捕まえ、動物病院へ向かいました。
私はブロンディが信頼を裏切られたと怒るのではないかと心配になりましたが、待合室のブロンディは母の背中にぴったりと体を寄せておとなしく待っていました。

診察を受けたブロンディはオスだということが分かりました。
母はちょっと驚いていましたが、彼自身が一番びっくりしていたかもしれません。

私たちの家でほかのペットや家族と一緒に暖炉の傍で寛いだブロンディは数日後に虹の橋を渡りました。

動物病院で診察を受けたとき、ブロンディが伝染性腹膜炎を患っていて手の施しようがないことが分かっていました。

ブロンディに比べてフレンドリーだったブラッキーは別の家族の家に迎え入れられました。
ブラッキーは元気に暮らしています。

私はブロンディと母の出会いがどんな意味を持っているのかを表現するのがとても難しいので、撮りためたブロンディの写真とストーリーを掲示板に投稿しました。
私はお腹を空かせた野良猫と出会ったときのためにキャットフードの缶を車のトランクに積んでいます。

ブロンディ、ゆっくり休んでいるかい?
きみのストーリーが誰かに野良猫を飼う気にさせてくれたらいいのですが・・・