それは野良猫の棲家になった家から猫を救助するというプロジェクトでした。
子猫の居場所を突き止めた夫は、ゴミの上で腹這いになり必死に子猫を助け出そうとしていました。
何時間もゴミの山と格闘した夫はようやく小さな子猫を掬い上げ、大事そうに両手で包んでいました。
痩せた子猫はとても汚れて衰弱していました。

私たちは子猫にジョリーと名前を付け自宅でお世話を始めました。
数週間が経ち、同じ月齢の子猫達が体重を倍に増やしていく中、ジョリーだけはほとんど体重を増やすことができませんでした。
ふたりの獣医師の診察を受けたものの大きな異常は見つからず、感染症の治療を続けていたジョリーはほとんど体重を増やすことができませんでした。

何かがおかしい・・・
私たちは3人目の獣医師に徹底的な検査をお願いしました。

検査の結果、私たちがジョリーを保護する前の栄養不足がジョリーの成長を阻害していることを突き止めることができました。
ジョリーは生まれてからずっと飢えに苦しみ、最も栄養を必要とする時期に十分な栄養を摂取することができませんでした。
さらに、私たちのもとで十分な食事ができるようになってもジョリーの身体は栄養素を吸収することができずにいたのです。
獣医師はジョリーに毎日消化酵素とビタミンを与えるようにアドバイスをくれました。
幸いにもそれは効果を発揮してジョリーは次第に元気になり徐々に体重を増やし始めました。

ジョリーはカリシウィルス(上気道感染症を引き起こすウィルスの代表)や重度の耳の感染症を患っていましたが、体力を取り戻すごとに回復へ向かいました。
ジョリーの回復ぶりに獣医クリニックのスタッフ達もとても喜んでくれました。
人懐っこいジョリーは彼らの人気者になっていました。

夫はジョリーを助けるためにゴミの山を這いずり回っていました。
夫は見つけた瞬間からジョリーに心を奪われていたのです。
エネルギーを増していくジョリーは夫の肩に上るのが大好きで、夫は肩の上のジョリーを誇らしげに見つめていました。
一緒に暮らし始めて2か月が経った12月27日、ジョリーはついに体重を2ポンド(約900g)まで増やすことができました。

新しい年を迎え、ジョリーの体重はさらに増え、2.5ポンド(約1100g)に達しました。
確かに平均に比べればまだ小さいし、ジョリーはずっと小柄かもしれません。
だけど、ジョリーは見違えるほどエネルギーを蓄え、愛情深い個性を開花させました。

そして夫が救った日から3ヶ月が経った1月8日、4か月を迎えたジョリーは全ての準備を整え、南カリフォルニアで暮らす新しいママの家へ旅立って行きました。

ジョリーたちが暮らしていた地域は猫たちにとってとても危険な場所でした。
夫がジョリーを救い出したとき、ジョリーが居た廃材の山からは亡骸になった猫が数匹見つかりました。
夫がジョリーの鳴き声に気付かなければきっとジョリーは生き延びることができなかったでしょう。
私たちはジョリーを救い出すことができたことをとても感謝しています。

あのプロジェクトでは最終的に計69匹の猫を保護することができ、これ以上猫が増えることはないでしょう。

ジョリーが旅立つ直前、肩にジョリーを乗せた夫はとても晴れやかな表情をしていました。
健康を取り戻したジョリーを誇らしげに見詰め、ジョリーの旅立ちを心から喜んでいました。