野良猫は見つけた当初6m以内に誰も近づけようとしませんでした。
私たちは冬の間ずっと野良猫に食事を与え続け、野良猫は少しずつ警戒心を和らげていきました。
野良猫はゆっくりと人間への恐れを捨て、私たちと楽に会えるようになっていったのです。

あるとき、私たちは野良猫が出産していることに気付きました。
しかし、野良猫は子猫をずっと隠していて私たちは見ることができませんでした。
私たちは野良猫が連れてきたときに初めて子猫を見ることができたのです。
野良猫は大事に子猫たちを育てていたのでしょう。
どの子猫もとても元気できれいでした。
私と弟はそのまま彼女と子猫たちを外に放っておくことはできませんでした。

数日後、二人で捕まえに行きました。
私たちは最初の日に捕まえておけばよかったととても後悔していました。
保護するまでの間に野良猫や子猫たちに何かが起こるのではないかとずっと不安でたまらなかったからです。

子猫達は大きな材木の間に潜んでいて捕まえるのにとても苦労しました。
積み重なった丸太の中に子猫が残っていないか確認しながら5匹全員を捕まえるのに数時間かかりました。

母猫はさらに簡単にはいきませんでした。
子猫を捕まえた私たちに彼女は興奮して少し攻撃的になってしまいました。
彼女は最初に入れた段ボール箱をすぐに破って逃げてしまいました。
再び姿を現したとき、私たちはキャリーケースを使ってようやく捕まえることができました。
それは私たちにとって大きな試練でしたし、捕まえた彼女はあちこちに失禁するほど私たちを怖がってしまいました。
それでも冬の間に積み重ねた時間を彼女は忘れずにいてくれました。
彼女は少しずつ落ち着きを取り戻していきました。

自宅の空いている部屋にたまたま今は使っていないマットレスが数枚ありました。
弟がマットレスの1枚を床に置きもう1枚を斜めに立てかけて砦か祠のように作ってくれました。
猫たちは狭い空間の方が安心すると思ったのです。
マットの上に子猫達の段ボール箱を置くとしばらくは箱の中から出ようとしませんでした。
でも、子猫達がマットレスの上で走り回るまでにそれほど時間はかかりませんでした。

母猫は安心して子猫たちのお世話をすることができて満足そうでした。
幸いなことに子猫達は心配したノミがほとんどいませんでした。
子猫達にとってノミの寄生はダメージが大きいので私たちはかなりホッとしました。

私たちは子猫達が出会った初めての人間のはずでした。
恐らく、子猫達が警戒心を懐く前に私たちと急激に接近したためにその機会を失くしたようです。
私たちは子猫達の遊び相手になって過ごすのがとても楽しかったです。

私たちは約1か月の間母猫と子猫の世話をしました。
子猫達が十分に成長するのを待って全員の引き取り手を探し、子猫達はすべて新しい家族を見つけることができました。

家族がずっと一緒に暮らせればよかったのに・・・私も弟も本当はそう思っていました。

数か月前、偶然見つけた母猫はなかなか近付くことができませんでした。
しかし冬の間に積み重ねた時間に私たちの想いはちゃんと母猫に届いていました。
母猫の大事な子猫達は全員が健康に成長し、それぞれが温かい永遠の家を見つけることができました。
母猫はとてもフレンドリーな猫に変わり、完全な家猫になりました。
いつか母猫も旅立って行くでしょう。
私たちはどうしても彼女と彼女の大事な子猫達を外の放っておけませんでした。