子猫の後ろ足がワイヤーの束に引っかかって抜け出せずにいました。
車の下から助け出した子猫は耳と前足と鼻にエンジンの熱で火傷を負っていました。子猫がどれだけ動けなかったのかは分かりませんでしたが、怯えて興奮した子猫をとにかく助けたいと思いました。
ジャケットに子猫をくるみ何とか落ち着かせようと抱いていました。
すると15分くらいたったとき、小猫はようやく興奮が収まり鳴くのを止めました。
私が助けようとしていることを理解すると、子猫はもう動くことができませんでした。

私は子猫にケストと名前を付けました。
動物病院へケストを連れて行くと、痩せたケストは深刻な脱水状態で栄養失調のために前足がわずかに曲がっていることが分かりました。
前足の爪は収まることはなく常に出した状態でまるでグリズリーの手のように見えました。
最初の数日ケストは火傷と衰弱のためにひとりで立ち上がることさえできない状態でした。

夫のアーロンはケストが生き延びることができるのか不安に思っているようでしたが、私は必ず助かると信じて疑いませんでした。
私はケストに水分を与え、経過を観察しながら励ますために夜通し傍に寄り添いました。
翌朝、ケストは少しずつ食べることができるようになりました。
ケストはそれまでに見たこともない完璧なフミフミを見せ、その膨らんだお腹で私に徹夜の疲れを忘れさせてくれました。
出会った日、ケストは私が触れた瞬間から私を信頼してくれました。
私はケストに心を奪われ、彼を家族に加えることを決めました。

私は1日2回火傷の手当てをしました。
日を追うごとにケストの鼻と足は回復に向かいました。
しかし、焦げてしまった右耳は内側に向かってカールしていき回復の兆しを見せませんでした。
獣医師は清潔に保ち感染を起こさなければ手術の必要はないと言っていました。
数日後最終的に7割を焦がされていた耳は乾燥して落ちました。
落ちた跡には約1週間の間、獣医師からもらった軟膏を1日2回塗り塗り、抗生物質を飲ませました。
定期的に受診していた獣医師はひどい火傷だったけれどもう心配はないと言いました。

ケストは私が耳の手当てが好きではありませんでした。
それでもケストは手当てを終えた私の指を銜えるようになりました。
犬のリオはケストの治療中に寄り添い、きれいにするのを助けてくれました。
猫のダンカンもまた小さなケストを慰めてくれました。
もう1匹の猫、イーストはキャットツリーの上でケストのママ代わりになって抱きしめ、2匹はお互いが大好きになり遊ぶときも一緒でした。
ケストは夜寝るとき私の毛布の下に潜り込んで喉をゴロゴロ鳴らします。
ひとりぼっちだったケストは決して一人で眠ろうとはせず、いつも誰かの傍に寄り添いました。

私たちはしばしば子猫を育てています。
ケストの状態が落ち着いたころから再びお世話を始めました。
するとケストは子猫達の身繕いに精を出し寄り添い始めました。
リトル・ライオンという保護猫のお世話をしたときはリトル・ライオンが人間との暮らしに慣れるのを助けました。
ケストは自分と同じような境遇の子猫達に、愛されるに値する存在であることを感じさせることに尽力してくれたのです。
リトル・ライオンは見違えるほど自信に満ちた子猫に成長し永遠の家に旅立って行きました。

ケストはリオやイースト、ダンカンに注がれた友情やぬくもりに助けられたことを忘れませんでした。
今も彼らは友情を温め合い、絆を深めています。
生後5か月を迎えたケストは大きな心を持ち自信と愛情に満ちた子猫に成長しています。
彼に心を奪われた私は今もケストに魅了され続けています。