自宅で、遠くの方から子猫の鳴き声が聞こえていました。
子猫を見つけたとき助けが必要なのが一目で分かりました。
しかし子猫に近付こうとすると怖がって距離を詰めることができません。
時間をかけて子猫に近付くしかありませんでした。
それから1週間ほどで子猫に近付くことができるようになりました。
その日子猫は声をかけると鳴き止んで喉を鳴らしました。
私は子猫を掬い上げ、動物病院へ連れて行きました。

骨と皮だけにやせ細っていた子猫はメスで体重は700gにも届きませんでした。
ひどい脱水状態で目の感染症と重度の尿路感染症のために痛みを抱えていました。
自宅に連れ帰ったその日は1日中、子猫に水分を摂らせ食べ物を与え、処方された薬を与えました。
翌日の子猫はずいぶん苦痛が和らいで気分がよくなりました。

子猫の血尿が止まり、目ヤニと腫れも少し落ち着いていました。
私は乾いた皮膚にも水分を与えようとお風呂に入れることにしました。
子猫の身体がお湯につかった瞬間、みるみる灰色に染まっていきました。

その後順調に回復していた子猫は突然食欲を無くし飲むこともままならなくなりました。

私は自分にできることはすべてやろうと決心しました。
それでもこのまま子猫がいなくなってしまうかもしれないと弱気になる夜が何度もありました。
だけどそのたびに子猫は彼女の本当の強さを見せてくれました。
子猫は栄養補給と輸液、抗生物質の投与を受けて必死に戦ってくれました。
そして数日後、私が薬の準備をしていたときでした。
子猫が突然立ち上がり私の後を追って歩き出したのです。
そしてひとりでまた食べるようになりました。
瀕死の状態から抜け出した子猫に私たち家族は喜びに包まれました。

それからの子猫の回復ぶりは目を見張るものがありました。
私たちは子猫を元気づけようと誰かしらが傍に寄り添い見守り続けていました。
目の感染症は日に日に改善され、きれいに開くようになりました。
そして食欲を取り戻した子猫は体重を増やし始めました。

目覚まし時計のアラームが私の起きる時間だと学んだ子猫は、私がアラームを無視すると自分が起こすと決めたようです。
私が目を覚ますと私と一緒にストレッチをしました。
朝食を摂って一日の準備をしている間、小猫は洗面台で遊んで私と一緒にいるのが日課になりました。
私たちは子猫をリースと呼び始めていました。

完全に健康を取り戻したリースを猫のサーと犬に紹介したとき、タキシードの老猫サーはリースを一目で気に入りました。
以来、サーはリースを小さな親友として認め、犬が近付き過ぎないように気を付け、お昼寝をするときはリースを抱きしめて一緒に眠りました。
リースは家族の誰からも愛され、のびのびと暮らし始めました。
一緒に暮らし始めて1か月が経ったとき、彼女は体重を2倍にまで増やしました。

リースを見つけたとき、人間に怯えるリースの反応が最近誰かに捨てられてトラウマを抱えているように見えました。
リースは心にも大きな傷を負っていました。

瀕死の状態だったリースは今、毎朝おもちゃを銜えて家中を駆け回っています。
あの頃の私たちには想像もできませんでしたが、リースの元気な姿こそが私たちに喜びを与えてくれています。