私は野良猫のことをパドゥーと呼んでいました。
私は中庭や歩道、車の下にいるパドゥーをよく見かけていました。
夏が過ぎ、私はパドゥーの様子に異変を感じました。
見かけるたびに元気を失い辛そうに見えたのです。
このまま冬を迎え厳しい寒さが彼を襲ったら・・・私はパドゥーが冬を乗り越えるのは難しいと感じ何とか保護することができないかと思い始めました。

近所にはパドゥーを可愛がっている人を見かけることもありましたが、以前、ケンカで傷を負ったパドゥーを動物病院へ連れて行く人はありませんでした。
パドゥーは近所の人に存在を知られかわいがる人もいたのですが、温かい家に迎えようとする家族との出会いには恵まれなかったのです。

私はパドゥーを保護しようと決心し近所の人に相談しました。
私たちは地元の保護施設Chatons Orphelins Montréal(COM)に連絡を取り、安全に保護するためにトラップを使うことになりました。
ところがパドゥーはトラップをとても警戒しなかなか近付こうとはしませんでした。
そしてパドゥーが以前別の保護グループのトラップにかかったことがありその時は解放されていたことが分かったのです。
私たちはパドゥーにトラップを使うことを断念し、彼を直接抱き上げる方法をとることにしました。

それは無謀ともいえる方法だったかもしれません。
私たちは毎日パドゥーがいる場所を訪れ食べ物を与え続けました。
そしてパドゥーに私たちに触れられることに慣れてもらうために少しずつ距離を縮めていったのです。
数週間後、パドゥーは私たちにお腹を見せて地面に寝転ぶようになり、私たちの指に付いた食べ物を口にするようになったのです。
最終的に私たちはパドゥーを抱き上げ、キャリーケースに入れることができました。

動物病院へ運ばれたパドゥーは診察を受け、ノミやダニ、寄生虫のために感染症のために呼吸が困難な状態でした。
闘いのために傷ついた耳は変形し、FIV(猫免疫不全ウィルス感染症)に陽性反応を示していました。
獣医師は抗生物質を処方し、里親さんが決まるまで施設で暮らすことになりました。

パドゥーはとても優しく穏やかな性格でした。
まるで私たちがパドゥーに救いの手を差し伸べたことを理解しているように落ち着いていたのです。

投薬が効果を現し、パドゥーは次第に体力を回復し始めました。
彼は施設での暮らしにすぐに順応し、施設の養育主をしているモルガンさんの家で暮らし始めました。

モルガンさんの自宅で、パドゥーは愛情を注がれ彼女の後を付いてまわっているようです。
パドゥーは部屋の中を走りまわって遊ぶ元気を取り戻すことができました。
夜はモルガンさんの膝の上で眠るそうです。
モルガンさんはパドゥーがずっと傍を離れないのだと話しています。

パドゥーの外の暮らしは闘いの連続で、穏やかな性格のパドゥーはボスとして君臨するタイプではなく、いつも傷だらけでした。
今でも、ほかの猫や初対面の人には神経質になってしまうそうですが、相手が味方だと分かるとすぐに仲良くなってしまうそうです。
モルガンさんに注目してほしいときは大きな声で鳴き、甘えん坊の一面を見せることをためらわなくなっています。
パドゥーは新しい家族を探し始めました。
私たちを信頼してくれたパドゥーなら、きっと心の通じ合うあたたかい家族と出会うことができるでしょう。
パドゥーは楽しみに待っています。