生後2週ほどの子猫たちの中でひとめでその1匹だけがほかの子猫と違うと思いました。
掬い上げたとき、手のひらに中の子猫はまるで小鳥のようでした。
痩せて被毛がまばらな上にひどい顔をしていました。
でも、私を見上げた子猫はまっすぐに私を見詰めていました。

たくさんの子猫を育ててきましたがこんなに小さな子猫は見たこともありません。
子猫を育てることがどんなに大変なのかは容易に想像ができました。
しかしこのままシェルターに残しておけば、子猫が生き延びられるのか分かりません。
私は子猫にチャンスをあげるべきだと思いました。
子猫のママと兄妹を連れて自宅へ向かいました。

獣医師の診察を受けた子猫たちは生後約3.5週。
オスが2匹、小さな子猫ともう1匹はメスでした。
このとき小さな子猫の体重は約142g、サイズは新生児の大きさしかありません。
他の兄弟の平均は約340gでほぼ同じ大きさでした。
詳しい検査の結果、小さな子猫は染色体に異常を抱えていることが分かり、いくつかの健康上の問題が見つかりました。
子猫が無事に成長できるのか誰にも分からない状況でしたが、私は彼女が生き延びる最高のチャンスをあげたいと思いました。
私はママ猫と子猫たちに名前を付け、小さな子猫をサンブリナ(おやゆび姫)と呼ぶことにしました。

歩くことを覚えはじめた兄弟たちの中でサンブリナはなかなかうまく歩けませんでした。

私は彼女から目を離すと次の瞬間にはいなくなってしまうのではないかと不安になり怖くなることもありました。
外出するときの私は、サンブリナを抱きしめキスをして『頑張って。あなたは抱えきれないくらいの愛情を持っているのよ。2時間後に会いましょうね。』そう言って出かけました。
帰宅した私がサンブリナを探すと彼女は出かける前と同じ場所にいて、名前を呼ぶと小さな顔を出してくれました。
私は彼女をぎゅっと抱きしめてようやくホッとしました。

小さなサンブリナはとてもタフな子猫でした。
新生児とほぼ変わらないサイズのサンブリナが、子猫たちに混じって歩き回ったり遊んだりするのを見るのはとても不思議な光景でした。
3週間後、サンブリナはようやく340gに届きました。
確実ではありましたが、ほんの少しずつ大きくなるサンブリナは兄弟たちのサイズにはまだまだ追いつくことができません。

サンブリナは呼吸が不安定な状態が続いていましたが、それもほとんど改善されてきました。
サンブリナは額が平たく人のダウン症候群に似た外見と症状があります。
原因が解明されていない研究段階の先天的な染色体の異常です。
成長が遅いことの他に、サンブリナは子猫が大好きな例えばオモチャにはほとんど興味を示しませんでした。
物事を理解するのに少し時間がかかりますが、私は彼女の個性のひとつといえる程度だと思います。
たくさんの子猫を育ててきた私が知る限り、とても小さいこと以外はほとんど普通の子猫と変わりません。

サンブリナはオモチャに興味がなかったのに、私の面談とで遊ぶのが大好きでした。
膝の上にあおむけになり、私の指で遊ぶのも大好きです。
サンブリナは私の指に執着しました。
もうひとつのお気に入りは私やボーイフレンドに抱かれて窓の外に風で揺れる木の枝を見ることでした。

一緒に暮らし始めて4ヶ月が経過し、サンブリナは健康上の問題を克服することができました。
サイズは平均よりも小柄ですが、新しい家族を探せる段階へ進むことができるようになったのです。
サンブリナのママ、フェリーンは愛情深いママ猫で、十分成長した兄妹を甘やかしていました。
ずっと仲良しだったサンブリナの兄弟たちはいつも一緒に遊び、サンブリナにおもちゃで遊ぶ楽しさを教えてくれました。
その兄弟たちはそれぞれに旅立って行き、ママ猫のフェリーンとサンブリナは新しい家族との出会いを待っています。

消えてしまいそうに小さかったサンブリナは初めて出会ったときのまっすぐなまなざしで私の心を奪い、ずっと私の心を話しませんでした。
サンブリナが旅立つときが来たら、私はきっと泣き叫んでしまうでしょう。
愛情深く、社交性があり、何よりもすべてを乗り越えるタフなサンブリナには、完璧な家族との出会いが待っていると信じています。