ブアヒーズの動物シェルター、ヴォーリエス・アニマル・オルファナージュのSNSを閲覧していた私は、少年のような目をしてやせ細った猫に一目で心を奪われてしまいました。
その猫はバーナビーと名付けられていました。

私の夫、エドはカムデンで動物病院を開業しています。
私は高齢の猫には健康上の問題から追加の医療費が必要になる可能性があることを知っています。
引き取り手が見つかるとしても時間がかかるかもしれません。
でも、バーナビーはすぐにでも助けが必要なことが見て取れました。
私たちはシェルターに連絡を取り、バーナビーを家族に迎えたいと伝えました。

2017年5月、バーナビーを迎えに行ったシェルターでは彼の旅立ちをシェエルターのスタッフ達がとても喜んでくれました。
自宅へ向かう車の中でバーナビーは不安と期待の入り混じった複雑な表情を見せていました。

夫と私はバーナビーの血液検査のために病院へ連れて行きました。
すると、バーナビーは瞬く間に病院で働くスタッフ全員の心を掴んでしまったのです。
バーナビーは今までずっとそうしてきたかのように悠然とオフィスを歩き回り、すぐに彼らの傍に寄り添い始めたのです。

獣医看護師のひとり、レイチェルはバーナビーのお気に入りのスタッフのひとりです。
バーナビーはレイチェルが床のモップ掛けをしていると、足跡が残らないように後ろから付いて来て拭き残しがないかチェックするのだそうです。

それだけではなく、閉院後のオフィスで彼女が事務処理をしているとバーナビーがやって来て彼女の膝の上に座るそうです。
レイチェルはバーナビーにそうしてもらうと集中できて仕事がはかどると喜んでいました。

バーナビーは自分を温かく迎えてくれたスタッフ達に感謝しているようでした。

バーナビーの検査の結果は残念ながら癌の可能性が高いという診断でした。
しかし、抗生物質の服用で症状が改善されている様子が見受けられ、バーナリーも薬を嫌がることはありませんでした。
食欲増進剤とビタミン、健康上の問題を抱えるシニア用の特別な食事のおかげで2週間ほどの間に体重を450gほど増やすことができました。
荒れていた被毛が改善されバーナビーは定期的なブラッシングを楽しみにするようになりました。

その後もバーナビーの体重を増やすために夫とベテランの獣医師たちは治療を重ねました。
なかなか安定しないバーナビーの食欲でしたが、それでも2か月後には3.2kgまで体重を増やすことができました。
病院のスタッフが全員で支えるバーナビーは、少しずつ体力を蓄えることができました。

7月の終わり、比較的順調だったバーナビーの体調が崩れ、気分の悪い日々が続きました。
進行した癌のせいでバーナビーは腎不全から貧血気味に陥りずっと居眠りをする日が数日続きました。
バーナビーが食欲を無くしたときは、レイチェル達看護師のスタッフがスプーンを使ってバーナビーに一口でもと食べさせてくれます。
私も、ポテトや鶏肉をつぶした特別メニューを作り、太いシリンジで与えることもありました。

1週間後に回復し始めたバーナビーは食欲を取り戻し、あちこちでおやつをもらっては全部を平らげてしまいました。
元気を取り戻すといつものように病院の中のあちこちで誰かに寄り添っていました。

今年の7月、バーナビーはリンパ腫の診断を受けました。
バーナビーはずっと薬を嫌がることもなくきちんと飲んできました。
彼は私たちが一緒に戦っていることを知っているのかもしれません。

彼が経験した試練は誰にも分かりませんが、幸いにも獣医師の家族たちが彼を支えています。
私たちの目標はバーナビーの残りの人生を健康でしあわせに過してもらうことです。
病気を完全に治すことはできないかも知れませんが、より豊かに愛されていると感じていいてほしいと思います。
バーナビーと暮らし始めて1年以上を経過し、彼は病院にとって『飼い猫』以上の存在になりました。
動物にとって年齢はただの数字でしかありません。
バーナビーはいつも私たちを少年の目で見上げています。