私は歩道に腰を下ろしていました。
1匹の猫が私をずっと見ているのに気づき、声をかけました。
すると猫は私の膝に前足を置き、そのまま膝の上に飛び上がって丸くなりました。
私が撫でると嬉しそうにからだを摺り寄せて喉を鳴らしました。

野良猫の右目は曇り、右の耳は感染症のために固い瘡蓋がいくつもありました。

あとでわかったのですが、野良猫は数年前に飼い主を亡くしそれ以来数ブロック先で暮らしているそうです。
その地域の住人に知らない人はいないくらいみんなに知られた猫でした。
野良猫は可愛がってくれる人を求めて棲家から離れた所まで足を延ばしていたようです。
私は野良猫に2度目のチャンスを掴む手助けをしたいと思い保護することを決めました。

野良猫が幸せになれるならと地域の人たちは保護することに同意してくれました。
8月30日、私が活動の拠点とするブルックリンのTNRグループの協力を得て野良猫を無事に保護することができました。

私たちは野良猫にソフィアと名前を付けました。
ソフィアは動物病院で診察を受け、ノミとダニ、いくつもの瘡蓋で固くなった耳のために抗生物質が処方されました。
血液検査の結果、幸いにも大きな問題は見つかりませんでしたが、治療の必要な歯と歯肉炎が見つかりました。
ソフィアの年齢は推定6~8歳。
命に関わる病気は見つからなかったものの、長い路上生活で傷ついた身体にはいくつかの治療が必要でした。

保護して数日後、ソフィアは養育ボランティアのリヴカの自宅でお世話をすることになりました。
ソフィアは長い時間を通りで過ごしていたとは思えないほど愛情深く、そして愛情を欲しがりました。
きっと亡くなった飼い主さんに深く愛されて暮らしていたのでしょう。
愛情を注いでくれた飼い主さんが亡くなり、捨てられてしまったソフィアの哀しみははかりしれません。
彼女は私たちの傍を離れることにとても不安を感じていました。
リヴカの家で暮らすようになって数日、ソフィアは不安分離の状態になり、ひとりになると食事を摂ろうとしませんでした。
ソフィアは再びひとりぼっちになるのをとても恐れていたのです。
ソフィアの不安を取り除くのは大変でしたが、夜になると私たちの隣に静かに寄り添って眠りました。

リヴカとの暮らしに慣れてきたソフィアは、毎日リヴカが帰宅するのを玄関の前で待っているそうです。
リヴカが座ると膝の上に飛び上がり、長い時間抱きついて離れません。
そして、リヴカが動けないように膝の上で眠ってしまいました。

ソフィアの歯科治療を10月24日に予定していた私たちでしたが、1週間ほど前に、ソフィアがわずかにふらつき吐き気に襲われたため動物病院へ向かいました。
原因は投薬治療を受けていた耳の感染症の影響でした。
幸い治療の計画は予定通りに進めることができそうです。
10月の終わりには新しい家族を探す準備が整うでしょう。

私たちは愛情を欲しがるソフィアのために、ソフィアだけに愛情を注ぎ、できるだけソフィアと一緒に過せる家族を探したいと考えています。
ソフィアは彼女にふさわしい家族との出会いを楽しみにしていて、それまでは私やリヴカの膝を温めてくれます。

飼い主さんを亡くした上に、突然街に放り出されたソフィアは、愛してくれる家族を求めて長い時間通りを彷徨っていました。
さまようソフィアに町の人は心を痛め、ソフィアを保護するために地域を越えて情報提供してくれた仲間たちが居ました。
ソフィアに心を動かされた人たちは彼女の新しい人生を楽しみにしています。