農場で見つかった子猫はサンフランシスコに拠点を置く、動物保護施設Saving Grace Rescue(セーヴィング・グレイス・レスキュー)に運ばれました。
生後6週、タキシードのオスの子猫は、初めて会ったとき立つのがやっとという状態でした。
しかしとても人懐っこくて元気で遊びたがっていました。

CHの猫は、体のバランスを調整したり、感覚と運動の連携をとるなどの役割をする小脳に病変を抱えて生まれています。
彼らは自分がCHに生まれたことも知らず、痛みや不快感もありません。

ジャスパーは名前を呼ぶとぐらつく身体で立ち上がり、必死に踏ん張って、だけどすぐに倒れてしまいました。
それでも私のところまで歩こうとしました。

そんなジャスパーはトイレを使うにもとても苦労しました。
トイレのところまで転びながら歩いて行きますが。トイレの縁を越えることができなかったので最初のうちは私が中に入れてあげました。
しかしジャスパーは自分一人で使うことを諦めようとしませんでした。

ジャスパーはとにかく遊びが大好きでした。
私がソファから名前を呼ぶと、何度も何度も転んでは立ち上がり、私のところに辿り着きました。
ジャスパーはほかの子猫達となんでも同じようにしようとしたので、私が手を貸すことはありませんでした。
しばらくすると、彼は少しずつ倒れる回数を減らし始めました。
ジャスパーは何度も繰り返す中で転ばずに歩くコツを掴んだのです。
次第に転ばなくなったジャスパーは、歩くスピードを上げて行きました。

私は目を見張りました。
そしてジャスパーをひたすら励まし、褒めました。
ジャスパーは楽しくて仕方がないと言った様子でした。
するとジャスパーの身体の傾きがだんだんなくなっていき、ついには走り始めたのです。

私はジャスパーの行く手におもちゃを投げました。
ジャスパーはおもちゃをめがけて走り、私のところへ持ってきます。
そしてジャスパーはキャットツリーや壁に立てかけた板を上ったり下りたりできるようになっていきました。

時間が経つにつれてジャスパーは自分の身体がどう働いているかを見極め、コントロールしているように見えました。
ジャスパーの体が揺らいでも彼の挑戦を止めることはできませんでした。

ジャスパーにはエネルギーがぎっしりと詰まっているようでした。
彼は遊んでいるときが一番幸せで心から楽しんでいました。

CHの猫はたいていが社交的で明るいものです。
彼らはとても挑戦的で何かを試すことをためらいません。
ジャスパーの場合、CHの状態は決して減退しているのではなく、動きを覚えるにつれて見違えるほど改善されていきました。

遊び疲れたジャスパーは私の肩に上って猛烈な眠気に勝てなくなることもしばしばでした。
ジャスパーが遊びの次に好きなのは私と抱き合うことでした。
日常の生活に問題のないジャスパーは新しい家族を迎える準備が整いました。
そして、ジャスパーを迎えて1か月、7月の終わりに彼は新しいパパとママの待つ家に旅立って行きました。

私と初めて会ったとき、立ち上がるのが精いっぱいだった彼は大好きな遊びの中で大切なものを身に着けていきました。
わずか1か月で走れるようになったジャスパーは、恐れや諦めを知りませんでした。

ジャスパーを愛していた犬のガーティは彼がいないことを淋しく思っているようです。
ジャスパーは我が家の誰からも愛されていました。
きっと、永遠の家でもみんなに愛されていくでしょう。