夫の話では大きな機械の上から転落した子猫を、母猫は放置してしまったそうです。
夫は子猫を放っておくことができずに連れて帰って来たのです。
汚れた子猫は10秒くらいの感覚で息を吸い込んでいました。
夫が連れて来なければ命を落としていたでしょう。
子猫が生き延びてくれるか分かりませんでしたが、できる限りのことをして子猫を助けたいと思いました。

子猫は生後1週間ほどのとても小さなオスの子猫でした。
まだ目も開いていません。
私は子猫を温め、ミルクを子猫の口に垂らして飲ませました。
ずいぶん汚れていたので温かいお風呂に入れました。
汚れは完全に落ちていませんでしたが、子猫は少し元気が出てきました。
しばらくしてほんのちょっとだけ鳴き声をあげました。
私は時間ごとにミルクを与えましたが、子猫は哺乳瓶を嫌がったので仕方なく口の傍にミルクを垂らして飲ませました。

子猫は少しずつ元気を取り戻してきました。
私は2度目のお風呂に入れ、子猫の身体はすっかりきれいになりました、
元気が出てきた子猫は私の手を吸うようになりました。
そして、子猫は初めて自分の体を舐めて身づくろいのような仕草を見せました。

哺乳瓶を嫌う子猫のために、細いシリンジを見つけました。
幸い、そのシリンジを気に入った子猫はすぐにミルクをたくさん飲めるようになりました。

子猫は目が開き、離乳を迎えました。
ウェットフードを食べ始めた子猫はフードのお皿の上に乗って、フードまみれになって一生懸命食べました。
そして、トイレも覚えることができました。

そんなとき、夫はまたしても子猫を連れて帰って来ました。
小さなメス子猫はゴミ箱で見つけたそうです。
我が家は一度の2匹の家族が増えることになりました。
私たちはオスの子猫にロッキー、メスの子猫にミトンと名前を付けました。

ロッキーのお世話を始めて2週間が経ち、彼は活発に動き始めていました。
ロッキーはときどき歩こうとしました。
しかし前足はちゃんと立っているのに、後ろ足は蹴っているだけでお尻が持ち上がらなかったのです。
まるでアザラシのようでした・

私はロッキーを動物の神経内科へ連れて行きました。
獣医師はレントゲンを撮り、おそらくロッキーは後ろ足と尻尾の感覚を失っているようだと言いました。
獣医師は私が想像していたとおりのことを言ったのです。
しかし、ロッキーは歩くことを諦めてはいませんでした。

しばらくして、私はロッキーの下半身を助けるために車椅子を用意しました。
ロッキーはそれをとても気に入って外も歩けるようになりました。
しかし、それまでほとんど使ったことがない筋肉を痛めることが無いように、私はあまり長時間使わないようにしました。

ロッキーは戦士のようでした。
車椅子を使わない間、彼は、一日中ボールを追いかけて走り回りました。
それもすごく速いスピードで、誰かが止めに入らなければ本当に一日中でも走り回っているでしょう。

私たちと暮らし始めて4か月が経った今、ロッキーはたくましく成長し彼の傍にはいつもミトンが寄り添っています。
ロッキーは今も後ろ足の感覚を取り戻すためのトレーニングを欠かしません。
彼はずっと前だけを見詰めて生きています。
初めて会ったとき瀕死の状態だった子猫は、強い意志を持って見違えるほどたくましく成長しました。

私が彼にロッキーと名前を付けたのは、映画『ロッキー』の主人公のようなファイターだからでした。
ロッキーはとても甘く、私が出会った中で一番甘い猫です。
そして一番タフな猫です。

ロッキーの物語はまだ始まったばかりです。
もしかしたら、ロッキーはある日突然歩き出すかもしれません。
私たちは前だけを見詰めるロッキーを誇りに思っています。