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今年3月、トルコの都市イスタンブールに暮らすアフセンさんは、とあるアパートの外で生後間もない3匹の子猫を抱えた母猫と出会いました。野良猫は安全な場所を求めてそのアパートの一角を選び、無事に3匹の小猫を出産したのですが、彼女たちを発見したアパートの住人の中に手を差し伸べる人は誰もいませんでした。

生後間もない子猫を抱え、安心できる棲家も無く誰の助けも得られなかった母猫・・・野良猫と子猫たちには安全な家が必要でした。
私は自宅に連れて帰り、母猫の子育てを支えたいと思いました。

自宅に着くと温かい毛布を敷いて4匹のための新しいベッドをつくりました。
すると母猫はベッドに横たわり、早速子猫たちのお世話を始めました。
母猫はまるで宝石のような目をしていました。
私は母猫にトルコ語でエメラルドの意味を持つズムルトと名前を付けました。

ズムルトはとても愛情深いママでした。
子猫たちをしっかりと抱きしめ、トイレ以外は子猫たちの傍から離れようとしませんでした。
しかもお腹が空いているはずなのに食事も摂ろうとしなかったのです。
ミルクをもらう子猫たちのためにもズムルトはしっかりと栄養を摂る必要があります。
私はキャットフードをズムルトの口まで運んでみることにしました。
するとズムルトは素直に私の手から食べてくれたのです。

ズムルトに愛情を注がれた子猫たちは、常にママのぬくもりに包まれ、ママのミルクのおかげですくすくと成長しました。
ずっと子猫たちの傍から離れないズムルトでしたが、私が食事を与えたり、撫でたりすると喉を鳴らしました。
そして私の手に彼女の手を伸ばしてフミフミをしました。
ズムルトは私に感謝の気持ちを伝えているようでした。

子猫たちが新しい家族を探せる時期を迎えると、次々に引き取り手が現れ、3匹の子猫たちはそれぞれ旅立って行きました。
しかしズムルトはなかなか出会いに恵まれませんでした。
出会った人たちは彼女に魅力を感じながら、引き取るまでには至らなかったのです。

時間が経つにつれてズムルトはキュートで自信に満ちた猫になりました。
ズムルトは私が自宅にいるとき、いつも傍に寄り添って過ごし、夜になると私と一緒に眠りました。
ズムルトは私にとってとても忠実な友人になっていきました。
私が外出から帰ると彼女は玄関に向かう私を迎えるために鳴きながら走ってきます。
私が帰宅するのをいつも待ち構えているようです。
ズムルトは私のことが大好きになっていました。

私には子猫の時から一緒に暮らす猫の親友ジクリが居ます。
私がズムルトたちを連れて帰ったとき、ズムルトの子育てが終わったら全員に家族を見つけるつもりでいました。
でも、ズムルトは私を大好きになり、私とって彼女は特別な猫になっていました。
私はズムルトを家族に迎える決心をしました。

ズムルトは私の親友、ジクリともすっかり仲良くなりました。
今ではズムルトが完全に主導権を握ってしまうこともしばしばです。
ズムルトは私の家でのびのびと過ごしています。
私は子育ての場が必要な野良猫に安全な場所を提供するつもりでした。
でもズムルトは私と出会ったときすでに彼女の永遠の家を見つけていました。