その猫はとてもフレンドリーで健康そうでした。誰かの飼い猫だろうと思いましたが、迷子になったのかもしれません。
猫は直ぐに私たちに近付いて来て足首にスリスリをしました。ところが、マーフィーが近付こうとすると攻撃的になって通りを少し追いかけました。
慌てた私たちは2匹を引き離してボーイフレンドはマーフィーを連れて先に自宅へ帰っていきました。

私は猫と一緒にその場に残り、フレンドリーな猫と写真を撮りました。
もし迷子なら誰かが探しているかもしれません。私は猫の写真を迷子のペットの情報を共有するFacebookのページに投稿しようと思いました。
猫は私の隣に座っていて私に体を擦りつけました。私は猫のお腹を擦りました。私は猫のことをグレッグと呼び始めていました。

家に帰ろうとするとグレッグは私の後を付いて来ました。私はグレッグに向かってこう言いました。
『ねぇ、どこに住んでいるにしても私について来てはダメよ。』

グレッグは聞いてはいませんでした。
私が自宅に入ると、玄関の横の小さな窓からグレッグがじっと中を見ているのが見えていました。
お腹が空いているのかもしれないと思い、食べものと水を彼の傍に持って行きました。でも、結果的にこれがグレッグを大いに励ましてしまったようでした。

彼は玄関の外に1時間以上座っていました。
もし、家に入れてしまえばグレッグは自分の家や棲家へ帰ろうとしなくなるでしょう。私たちは彼を無視するしかありませんでした。

グレッグの姿が見えなくなったとき、私とボーイフレンドは彼が家に帰ったのだと思ってちょっと安心しました。ところが・・・
キッチンで食べるものを作ってソファに座ると、視線を感じました。
驚きました。リビングの窓の外にグレッグが家の中をじっと見ていたのです。
彼はそこに座って1時間近く叫んでいました。さらに犬用のドアから入ろうとしましたが、諦めてそこに丸まって眠ってしまったのです。

翌朝、グレッグはまだそこにいました。その日は1日の大半をそこで過ごしていました。
夜になって私とボーイフレンドがマーフィーの散歩にでかけると、グレッグは後を付いて来ました。散歩の間中、ずっとマーフィーの後ろを追い続けていたのです。

4日間、グレッグは私の視界からいなくなることはありませんでした。
夜はリビングの窓の外でブラインドの向こうからじっと家の中を見ていました。
マーフィーが窓の傍へ行くとグレッグはシューシュー音を立てました。
グレッグは一晩中窓の傍を離れませんでした。気味が悪い、だけどどこか憎めない・・・
次第に、私は窓の外にグレッグの姿を探すようになった自分に気付きました。

その間、私はグレッグの飼い主を探すために複数のソーシャルメディアサイトに投稿しましたが、誰も飼い主を名乗り出ることはありませんでした。グレッグのために紙の首輪を作ってメモをつけましたが、これも効果はありませんでした。
健康上の問題はなにも無さそうなグレッグを、私はできればシェルターや病院には連れて行きたくありませんでした。きっと彼はストレスを感じると思ったのです。
私たちの猫マックスはとてもフレンドリーで隣人の家を訪問することで知られています。もし、マックスが迷子になったら、彼が助けを必要とする以外シェルターや病院へ連れて行ってほしくありません。

何度も、何度も私はグレッグを家の中に入れたい衝動に駆られました。だけど、グレッグがマーフィーを攻撃するかもしれないと思うとどうしてもできませんでした。
幸運なことに、地元の Lost and Found Petsからボランティアがマイクロチップのハンディスキャナーを持ってきてくれました。するとグレッグにマイクロチップが見つかり、ついに飼い主が判明したのです。ある夜、グレッグの飼い主からメッセージが届き、その日のうちに迎えに来てくれました。

2ブロック離れたアパートに住むナバレッティさんは愛猫のカイロを抱いてしばらく泣いていました。
カイロはあの日、うっかり外に出て帰れなくなっていたのです。

以前の暮らしに戻ったカイロは相変わらず元気そうです。

『グレッグ、なにをしているのかなぁ…』突然、ボーイフレンドがつぶやきました。
『ええ、私も気になっているわ。』

私は猫好きのためのFacebookのプライベートグループにグレッグとの懐かしい一件を投稿し、大きな反響を呼びました。