シロピガドの海岸の近くに集合住宅がありました。
通りかかったとき、子猫の鳴き声に気付きました。
汚れて小さくて痩せた子猫でした。
感染症のために目が腫れていてほとんど開けることができずにいました。
掬い上げると怖がって大きな声で鳴きました。
近所の人が木箱にベビー服を捨ててあったので、古いジャンパーを掴んで子猫を包みました。

辺りに猫の姿はありませんでした。
私は動物病院へ子猫を連れて行きました。
獣医師は目をきれいにすると軟膏やいくつかの薬を処方してくれました。
子猫は極度の栄養失調に陥っていたので、栄養価の高い食べ物を与えるように言われました。

宿泊先に帰った頃には子猫はずいぶん落ち着いていました。
私は子猫にモイラと名前を付けました。
モイラはお腹が満たされるとはじめて喉を鳴らし、私にぴったりと体をくっつけてお昼寝を始めました。
モイラはまだシャイなところがあって、私の首の下で眠りたがりました。

モイラの目は薬のおかげで腫れが引き、きれいに開けられるようになっていきました。
そして獣医師のアドバイスどおり、栄養価の高い子猫用のフードをたくさん食べられるようになりました。
見つけたとき汚れていたモイラは全身をノミに覆われていたのですが、全部取り除くために何度もお風呂に入らなければなりませんでした。

身体から不快感がなくなり、体力を回復し始めたモイラは徐々に個性を発揮し始めました。
モイラは生後1か月にも満たないのにすぐにトイレを使い、とても賢い一面を見せて私を驚かせました。

そしてモイラは遊びたくて仕方ありませんでした。
私はチワワのコーベにモイラを紹介しました。

モイラはすぐにコーベの後を付いてまわり、コーベは小さなモイラの一生懸命さをちゃんと受け止めていました。
モイラがお昼寝の相手を欲しがるときはコーベが彼女の傍に寄り添ってくれました。

日に日に元気を増すモイラはとてもおしゃべりになり、とても速く走ったり、元気いっぱいに遊ぶようになりました。
こんなに激しく遊ぶ子猫を私は見たことがありません。

8月下旬、私は帰国の準備に取り掛からなければなりませんでした。私はすっかり私たちと馴染んでいるモイラを置いて帰るなど考えられなくなっていました。
モイラは予防接種を済ませ、パスポートの申請が必要でした。
そして8月の終わり、私たちはミシガンの自宅へ帰って来たのです。

帰国後のモイラは一段と元気さを増しています。

私はギリシャでモイラと出会った1か月前、彼女を救えるかどうか自信はありませんでした。
でもその後のモイラの回復ぶりは驚異的なものでした。
モイラはまだ小さく成長の過程です。
私たちに愛情を注がれさらにエネルギーを蓄えて、どんな風に成長していくのか楽しみにしています。