鳴き声に辺りを見回すと、痩せて少し疲れた様子の子猫が鳴きながら私の方へ走ってくるのが見えました。
生後4週くらいの子猫はお腹を空かせているようでした。
食べ物をあげたいと思いましたが、何しろ空港のあるその地域にペットショップやスーパーマーケットもありません。
子猫は助けを求めて鳴き続けていました。

私は予定を変更して、子猫を職場の大学まで連れて行くことにしました。
でも、勿論キャリーケースなど持っていなかった私は安全に子猫を運べるのか確信はありませんでした。
子猫が逃げようとすれば交通の真っ只中に落ちてしまうかもしれません。
私は細心の注意を払う努力をしなければなりませんでした。

私は子猫をトレーニングジャケットの中に入れて、ゆっくりとペダルをこぎ始めました。
驚いたことに子猫は怖がりませんでした。
それどころか私の首元から顔を出して辺りを見回し始めました。
数分後、私は子猫が逃げだすことはないと確信しました。
私はいつものスピードでペダルを漕ぎそのまま維持しました。
子猫は一度も鳴かなかったし逃げようともしませんでした。

職場のボスポラス大学は空港から約30kmのところにあります。
私の職場では助けを必要とする野良猫や犬に食べ物を与えたり世話をしたりするのは普通のことです。
オフィスでは動物達がしあわせになるために私たちができることをしています。
職場のオフィスに子猫を運んだ私は、彼女に食べ物を与えスカイと呼ぶことにしました。
子猫が安心したところで、その日はオフィスに置いて帰りました。

翌日私はスカイの新しい家族を探そうと、これから猫を飼おうという人に引き取り手を探している猫を紹介するサイトでスカイを紹介しました。
すると数時間後には問い合わせの電話がかかり、スカイはその家族のもとへ旅立って行きました。

スカイは新しい家族にミラと名前を付けてもらい愛情を注がれています。
家族が送ってくれた写真にはたくさんのオモチャの中でネズミのオモチャと遊ぶミラや、先輩インコと遊ぶミラの元気な姿がありました。
因にネズミのオモチャはミラのお気に入りで、インコにはまだからかわれていると言ったところのようです。

人気のまばらな空港の外というあの場所でひとりぼっちでいたミラは、おそらく誰かに捨てられていたのでしょう。
私と出会わなければいずれ命を落としていたかもしれません。

あの日、定期的なトレーニングに出かけた私は、ミラを永遠の家へ運ぶ大切な仕事をすることができました。
大事なトレーニングの変更でも、こんな予定変更なら幸せを感じられますね。