タフィーを連れてきた男性は、警戒心の強いタフィーを苦労してキャリーケースに誘い込みVOKRA(バンクーバー孤児猫救助協会)へ連れて来てくれました。

スタッフは早速、タフィーを動物病院へ連れて行き診察を受けてもらいました。
男性も私たちも5歳くらいだと思っていたタフィーは12歳。
去勢されておらず人間を警戒していましたが、何年も前に迷子になってしまったか捨てられてしまった猫だと思われました。

診察の結果、目と鼻に感染症を患い鼻が完全に詰まっていました。全身がノミに覆われ、背中の被毛は固く絡み合い、まるでマットのようです。
さらに治療や抜歯の必要な口の中の疾患も見つかり、獣医師は目や耳をきれいにして抗生物質の入った塗り薬や飲み薬を処方しました。
血液検査と口の中の治療はタフィーが麻酔に耐えられる体力を取り戻し去勢手術を行った後に行うことになりました。
私たちはタフィーの健康を取り戻し、いつかあたたかい家族のもとへ送り出すことを目指して看護にあたりました。

スタッフはタフィーの絡み合った被毛を少し刈り込み、温かいタオルで拭いてあげました。
苦痛や不快感が和らいだタフィーは少し気分がよくなったようでした。

1週間もすると、タフィーの体力は明らかに回復し始め、ボランティアスタッフはときどき散歩に連れ出していました。
皮膚が荒れていたためお風呂に入れないタフィーのために、スタッフはタオルで毎日全身を拭いてあげていました。
その間、タフィーはボランティアが背中を撫でることを許すようになっていました。
私たちの24時間体制の看護はゆっくりとしたタフィーの体力と心の回復を助けました。

私たちがタフィーの看護を始めたとき、施設のSNSにタフィーの記事を投稿しました。
タフィーが去勢手術を終え、口の中の治療を始めた頃、バンクーバーからかなり離れた場所で野良猫のコロニーのお世話をしている数人の人達から連絡を受けました。
タフィーの記事で彼の写真を見た彼らは、お世話をしているコロニーに1年ほど姿を見せない猫がタフィーではないかというのです。
彼らの話によると、その猫は9年ほどの間食べ物を求めてコロニーに現れ、茂みの傍に座ってオスの猫が食べ終わるのを待って残りものを食べていたそうです。
彼らは姿を見せなくなったタフィーをとても心配していたようですが、驚いたことにタフィーが居たコロニーはバンクーバーから渓谷を越えた所にあったのです。
タフィーはより暮らしやすい居場所を求めて、長い旅の果てに男性のもとへ辿り着いていたのです。

施設はタフィーの新しい家族を探す準備に取り掛かり、見つかるまでのお世話を、TNR(捕獲して避妊・去勢し元の棲家へ帰す)プログラムの責任者、マリアに委ねていました。
マリアはタフィーと一緒の時間を過ごし、彼がもとは飼い猫であったことを殆ど確信していました。
『野生の猫は決して人間に体や顔を洗わせない。』マリアはそう言います。
彼女は、おそらく捨てられたタフィーに今度こそあたたかい家族の中で幸せになってほしいと愛情を注いでいました。

タフィーを保護して3か月が経った頃思わぬ知らせが届きました。
タフィーはFIV(猫免疫不全ウィルス感染症)に陽性反応を示したのです。
人間との暮らしに慣れてきたとはいえ、タフィーは1匹飼いにするには野生の名残が強すぎました。
一方で、FIV陽性の猫は感染の可能性があるためほかの猫と一緒には暮らせません。
同じ理由で外に暮らすこともできません。
タフィーにあたたかい家を・・・幸運なことにマリアや私たちの願いを受け止めてくれた施設が現れました。

Katie's Place Animal Shelterは広大な森林に囲いを持ち、FIVの猫たちに生涯の家を提供する活動をしている保護施設です。
そこで活動している友人がタフィーの話を知り、施設が彼を受け入れることを決めたのです。
そこでは温かい家と広大な森林を自由に行き来しながら同じ境遇の仲間たちと暮らすことができます。
マリアや私たちが描いていたタフィーの永遠の家とは少し違いますが、食べ物のための戦いもなければ寒さに凍えることもありません。
何かあればすぐに助けてくれる人間が見守ってくれるのです。

タフィーに愛情を注いできたマリアは辛い別れを迎えましたが、タフィーにとって最善の家が見つかったことを喜んでいました。

タフィーは、遠く離れた棲家から離れ、心優しい男性と巡り合うことができました。
男性と出会わなければタフィーはきっと生き延びることはできなかったでしょう。
もしかしたら、タフィーは一番望んだ最高の家を見つけたのかもしれません。