テラはルームメイトが赴任する2週間ほど前に保護した野良猫でした。
確かにテラのお腹は少し膨らんできたような気がしました。
でもいつもご機嫌で喉をゴロゴロ鳴らしていたし、痛みがある様にはとても思えませんでした。
私はちょっと太ったせいだと思い、もう少し様子を見て病院へ連れて行こうと思っていました。

それから1週間後、深夜のことです。
私は猫の部屋から聞こえてくる小さな物音で目を覚ましました。

2匹の猫は静かに寝ているようです。
様子を見に行くと、やはり2匹はじっと寝ているようですが、まだ音が聞こえていました。
壁に爪でも引っかかっているのかと思い、テラのお腹の下を見たときでした。
生まれたばかりの子猫が2匹いたのです。
なんとテラは出産の真最中だったのです。

驚いた私は何をしたらいいのかネットで調べました。
テラは合計7匹の子猫を無事に出産しました。
子猫は1匹だけとても大きく、6匹は同じ大きさでとても元気でした。
出産を終えたテラは子猫たちにミルクをあげながら、誇らしげに大きな声で鳴きました。

私は3匹の犬と暮らしていますが、1匹を除いてさほど興味を示しませんでした。
しかし、ウィニー・ミックスだけは子猫のことが気になって仕方がないようで私がいくら止めても子猫のそばに行こうとしました。
子猫を傷つけてはいけないと思い近づけないようにしたのですが、根負けして私の監視のもとで傍に連れて行きました。
すると彼は目を輝かせて子猫を1匹ずつ丁寧に舐め始めたのです。
しかもテラは全く気にしませんでした。
私は犬にもテラにもちょっとびっくりしました。

子猫たちの目が開いたとき、小猫の1匹に先天的な目の疾患があることが分かりました。
でも子猫は兄妹と変わらずとても元気で、幸い健康面に問題は見つかりませんでした。
7匹の子猫を見分けるために私は色違いの首輪を購入しました。
私は子猫たちが歩き回るようになるのを待って、ずっとつけてもらうことにしました。
そして子猫たちの名前を決めました。
一番大きく生まれた茶トラのオスにジョージ(黒の首輪)もう1匹の茶トラにフレッド(ブルー)、グレイのオスにテスラ(ブルーグリーン)とシュレーディンガー(レッド)グレイのメスにダッチェ(パープル)、ミネルヴァ(ピンク)、目に疾患のあるハニーブーブー(イエロー)です。

ウィニー・ミックスは常に子猫のそばにいて彼らを見守り、他の犬達から守っていました。

テラは彼が子猫を舐め始めると完全に任せっきりになり、場所を移して体を休めることができました。
テラは彼を完全に信頼していました。

私がTVを見ていたとき、下を見ると彼は子猫を2匹銜えて来ていました。
彼は私と一緒に寛ぎたいと思ったらしく、でも子猫のことも気になって仕方がなかったのです。
彼はここで子猫の身体をきれいにしました。
彼がこれほど深い父性を備えていたとは全くの驚きでした。

私がルームメイトの頼みを引き受けたのは裁縫部屋として使っていた部屋を猫たちに使えると思ったからでした。
私は古い木箱を使って裁縫部屋を猫のための専用の部屋に作り変えました。
そもそもゲールとテラのために用意した部屋でしたが、この部屋がなければ子猫のお世話をするのは難しかったでしょう。

入口に子猫たちの脱走を防ぐためにゲートを作りましたが、元気いっぱいの子猫たちは大きくなるにつれて繰り返し脱走を試みました。
私が留守の時、家には子猫にとっての危険がいっぱいです。
私は出勤前に子猫を全て部屋に戻さなければなりませんでした。
このとき私は『飼い猫』の意味を痛いほど理解できました。
ときどきウィニー・ミックスは子猫を部屋から連れ出そうとして私に見つかりました。
別の犬達はときどき子猫の遊び相手をするようになりました。

ハニーブーブーは結局両目を摘出しなければなりませんでした。
しかし、彼女は兄妹と変わらず健康でのびのびとしていました。
7匹はそろって元気に成長し、その後それぞれに新しい家族のもとへ旅立って行きました。

テラはウィニー・ミックスの献身的なサポートに恵まれて子育てを終えることができました。
テラの突然の出産は私にとって大変だったけれど、愛情いっぱいの充実した毎日でした。
もともとルームメイトに送ろうと撮りためた子猫たちの写真は、今も私の大好きな宝物です。