ウィルバーを迎えてしばらくしたある日の朝、目を覚ました私はふと私を見詰める視線に気付きました。
その時はたまたまウィルバーが見詰めていただけ、そう思っていたのです。

でも、そのときからなんとなくウィルバーの視線を意識するようになった私はたまたまではなかったことにあとで気付いたのです。

一緒に暮らし始めて数週間後には、ウィルバーは私の車の音を覚えてしまったようで私が仕事から帰宅すると、玄関のドアの前で必ず待ち構えていました。
仕事に出かける時は、私の後をずっと追いかけたいウィルバーを裏切って出かけなければなりませんでした。

私が帰宅すると、ウィルバーは私の後を付いてまわりました。
でも夫の後を追うことはありませんでした。

リビングで私がTVを見ているときも、夫がキャットタワーのクロエとウィルバーを撫でているときでさえウィルバーの視線は私に向けられていました。
(夫はちょっと気の毒な気がしました・・・)

私がPCに向かうとウィルバーは目と鼻の先まで近づいてきました。
そして、ただじっと見つめているだけなのです。

家に友人が来たときは部屋の外から見続けていました。

彼の目的はただ見ていることだけ・・・なのでしょうか。

私がクロエとベッドの上で遊んでいると、ウィルバーは嫉妬していたかもしれません。
少し離れた所から一瞬たりとも視線をそらさず見詰めていました。

私はウィルバーのために、ベッドの横に私の匂いの付いた衣類を置いています。
ウィルバーは夜寝るとき、一晩中私の上で過ごそうとしたのです。でも私は眠ることができなかったので諦めてもらわなければなりませんでした。
ウィルバーを苦労して説得した時に衣類を置くことを思いつきました。
毎朝、ウィルバーはそこで私が目覚めるのを待っています。

一緒に暮らし始めて数か月が経ったとき、ウィルバーは、私の履物にも執着するようになりました。
私の靴やサンダルをただ抱いてじっと座っているのです。

猫は自分の飼い主を自分のテリトリーと考えていて、帰宅した飼い主の靴や足の匂いを嗅ぐのは他の動物と接触していないか確かめているのだと聞いたことがあります。
私の靴もきっとウイルバーに確認されているのですね。

ウィルバーが見詰めているのは私だけだと確信したとき、はじめはちょっと気味が悪いと思いました。
だけど、それがウィルバーなりの愛情表現だと感じたとき、ウィルバーがなおさら愛おしくなりました。
彼はコミュニケーションがちょっと不器用なだけ、私たちとの暮らしを楽しんでいます。