協会の柵の外は交通量の多い幹線道路が走っています。
子猫にはとても危険な場所でした。
子猫は私を見つけると遊具の下に潜り込み、身を潜めて外の様子を伺っていました。
生後2か月ほどの子猫はその場所にたった1匹でいるようです。
子猫の存在は知られていたようですが、救いの手を差し伸べる人はいなかったようです
自宅に戻り、キャットフードと水を子猫のそばに置きました。
お腹を空かせていた子猫は遊具の下から出て来てお腹を満たしました。

翌日、再びキャトフードと水を持って子猫のところへ行きました。
私が近付こうとすると、遊具の下に潜り込んでしまいます。
私が声をかけると離れた所から私に向かって盛んに鳴いていました。
10メートル足らず、前日より子猫に近付くことができました。

人間は怖いけれど、心細くて淋しくて、誰かと一緒に居たい・・・子猫の様子からそう思っているように感じました。
やっぱりひとりぼっちにはしておけません。

3日目、子猫は建物の傍の小道にいました。
私は道を挟んだ反対側にキャットフードと水を置きました。
子猫が水を飲み始めたとき、近付いて首の後ろをつまむと・・・子猫はそのまま水を飲み続けたのです。
子猫は抵抗もなく、暴れもしないで私に掬い上げられました。
わたしは子猫を掬い上げた瞬間、なんとも言えない感情がこみ上げてきました。

私は子猫を連れて帰り、しばらく世話をしようと思いました。
家に着くまでの間、子猫は私の腕の中でとてもおとなしく抱かれていました。
走って逃げようともしなかったし、本当に何もしようとしませんでした。
私と子猫の間に深い縁のようなものを感じました。

子猫は生後2か月ほどのメスでした。
私は子猫にエイプリルと名前を付けました。
エイプリルはあんなに怯えていたことがウソのように、私の腕で安心しきった表情を見せてくれました。

私はビック・トムと呼ぶ猫と暮らしてきました。
トムに、エイプリルを紹介すると、トムは小さなエイプリルを一目で気に入りました。
トムは24時間ずっとエイプリルの傍から離れませんでした。
母猫が子猫にすることのすべて(ミルクを与える以外)をエイプリルにしていました。
エイプリルはすべてをトムから学び、私たちとの暮らしに自然にと結婚で生きました。

順調に成長し、ますます活発になったエイプリルは、トムの長い尻尾でタマ取をしました。
トムは悠然と構え、エイプリルにしっぽを貸していました。

ベッドでもカウチでもトムとエイプリルは常に一緒に過し、お互いが相手のためにそこにいる、そんな風に見えました。
いつしかトムとエイプリルの間には固い絆が築かれていきました。

私はエイプリルが家猫として暮らせるようになったら新しい家族を探そうと考えていました。
ビッグ・トム以外の猫を飼うつもりはありませんでした。
しかしトムとエイプリルを引き離すことはできませんでした。
そして、そんな2匹を見守ってきた私自身もエイプリルを手放すことができなくなってしまいました。

あれから4年。
エイプリルはトムと私に愛情を注がれ、美しく幸せなレディに成長しました
今となっては、トムも私もエイプリルのいないこの家は想像ができません。