ケースの外から見たとき、私たちは毛むくじゃらの犬が入っていると思いました。
犬はキャリーケースの中に窮屈に押し込まれていたので、身動きが取れないようでした。
私たちは犬を外に出すためにキャリーケースの天井部分を外しました。
そして気付いたのです。
それは犬ではなく、絡み合ってマットのように固まった被毛に覆われた猫だったのです。
スタッフの誰一人、こんな状態の猫を見たことがありませんでした。

その日の早朝、5時41分。
1台の車の助手席から降りた男性がキャリーケースを持って、玄関の方へ歩いてきました。
そして、車へ戻るとき、彼の手にキャリーケースはありませんでした。
監視カメラは猫が置き去りにされた一部始終を捉えていました。
ダグラス郡保安官事務所は男性を探しはじめ市民に協力を求めています。

猫は体を覆っている自分の被毛のために一歩も動くことができませんでした。
猫がずいぶん長い間この状態で生きてきたのは明らかでした。
恐らく何年もの間、食べ物と水だけを与えられ自由に動き回ることはできなかったのでしょう。
私たちはすぐに動物病院へ猫を連れて行きました。

獣医師に刈られた猫の被毛は2kgを越えました。
猫はただれを起こしていた皮膚など必要な治療を受けました。
しかし毛を刈ったことで猫にはもうひとつ問題があることが分かりました。
長い間全く動くことができなかった猫の体重は10kgを越えていたのです。

猫は約10歳、ボブ・マーリーと名前が付けられました。
毛を刈ったボブはすぐに歩き回るようになり、自由に動けることをとても喜んでいます。
施設の中にあるカウンターを見上げたボブは、『あそこまで飛び上がりたいな・・・』そんな表情を見せていました。
大丈夫、きっとボブは軽々と跳び上がることができるようになるでしょう。

玄関でボブのキャリーケースを見つけたときも、監視カメラに映った映像を見たときも、施設のスタッフ達は驚くことはありませんでした。
残念ながらボブのようなケースは決して珍しいことではありません。
私たちが心配なのは、あの男性のもとにボブのようなペットがほかにもいないかということです。
今も辛い目に遭っているペットがいないことを願うばかりです。

ボブは新しい家族を探す準備が整い、引き取り手を探し始めました。
ボブは10歳と決して若くはありませんが、辛い経験をしたにもかかわらずとても優しい性格です。
日に日に活発になっているボブは、今度こそ心から彼を愛してくれる家族との出会いを楽しみにしています。