当時私はアルバータ州の祖父母の家で暮らしていました。
ある日、裏庭にあった古い犬小屋の中で猫が小さな子猫を育てているのを見つけました。
何も入っていなかったはずの犬小屋にはたくさんのわらが敷かれていました。
母猫は人間に慣れていて、もともと野良猫ではないようでした。
交通量の多い道路から離れたそのあたりでは、捨てられた猫をよく見かけました。
たぶん、母猫もその中の1匹だと思いました。

祖母の家だったので家の中に猫たちを入れることはできませんでした。
そしてその地域には野良猫を引き取ってくれるシェルターもありませんでした。

その後、母猫は子猫たちをポーチへ移しその下で子猫たちを育てていました。
私は母猫に食べ物と水をあげるようになりました。
私は時期を見て引き取り手を探そうと思っていました。
ところが、子猫たちが生後5週を過ぎて離乳を迎えたころ、突然母猫が姿を消しました。
愛想のいい猫ではありませんでしたが、子猫たちのお世話は熱心でした。
結局、母猫を見つることはできず、子猫のもとへ戻って来ることもありませんでした。

その後も子猫たちのお世話を続けました。
私はできるだけ時間を作り、子猫たちといっしょに過しました。
子猫たちが野生に戻ることが心配だったからです。
しかし私の心配をよそに、子猫たちは私が仕事から戻るのを毎日待ってくれていたのです。
子猫達との時間は私を癒してくれました。

季節は冬へと向かいました。
私の祖母が入院することになり、私と母は、十分に成長した子猫たちの引き取り手を探しました。
幸い3匹の引き取り手が決まり新しい家族のもとへ旅立って行きました。
そしてその後すべての引き取り手が見つかりました。
ところが私の母が残った3匹を新しい家族のもとへ届けようとしたとき、Mr.オレンジと呼んでいた生姜色の子猫は断固拒否したのです。

私はいずれ引き取り手を探そうと思っていたこともあり、情がうつるのを恐れて3匹をキティ、フワフワ、Mr.オレンジと簡単な名前で呼んでいました。
Mr.オレンジは6匹の子猫の中でも一番俊敏で、一番シャイな性格でした。
結局、Mr.オレンジは私たちのもとに残ることになりました。

かつてMr.オレンジはかなりきつくて気難しい性格をしていました。
私はMr.オレンジとふたりきりで過ごすととても疲れてしまいました。
だけど。
Mr.オレンジは私の新しい親友になっていったのです。

入院していた祖母はその年に亡くなりました。
私たちは辛い時期を子猫たちにずいぶん助けてもらいました。
あの頃の私は、子猫たちがそれぞれ幸せな人生を送ってくれていることでようやく責任を果たすことができたと思いました。

そして、私のもとには最高の親友が今も寄り添ってくれています。
私はずっとMr.オレンジとくっついているつもりです。