ロサンゼルスにある動物保護施設Friend for Life Rescue Networkの共同設立者ジャクリーンは、手遅れになる前に猫を救いたいと車を走らせてシェルターへ向かいました。
到着したジャクリーンはすでに2匹の子猫が亡くなったと告げられました。
さらにスタッフは残った子猫のうち1匹も生き延びることはできないだろうと諦めていたそうです。
ジャクリーンはすぐに3匹を引き取りました。

ジャクリーンが引き取ったとき、ほとんど骨と皮だけにやせ細った母猫も子猫たちも無数のノミが寄生し、子猫の1匹は深刻な栄養失調と脱水状態に陥っていました。
彼女はすぐに動物病院へ向かい猫たちに必要な治療を受けさせました。
しかし2日後、衰弱の激しかった子猫の1匹は懸命の治療にも拘らず息を引き取っていったのです。
母猫は生き残った最後の1匹を抱きしめ、懸命にお世話を続けたそうです。

ジャクリーンは母猫にスパロウ、彼女の小さな息子にフィンチと名前を付けました。
スパロウは愛情豊かな母猫でフィンチを抱きしめたまま片時もそばを離れませんでした。
しかし、スパロウ自身が栄養失調だったため、フィンチに十分なミルクを与えることができませんでした。
ママのミルクでお腹が満たされないフィンチが鳴くと、スパロウは慰めるように鳴いてフィンチを抱きしめたそうです。
なかなか体重を増やすことができないフィンチにジャクリーンは2時間ごとのミルクと栄養補給のためにサプリメントをあげていました。
フィンチは十分な栄養とママ・スパロウの愛情を一身に受け、順調に体重を増やし始めました。

救出から1か月が経ったとき、健康診断を受けたママ・スパロウに思いもよらない結果が待っていました。
スパロウはネコ白血病ウィルス感染症(Felv)に陽性反応を示したのです。

ネコ白血病ウィルス感染症は免疫力を低下させ、白血病だけでなく悪性腫瘍や血液の病気、他の感染症など様々な病気を引き起こし、主に唾液や排泄物などから容易に感染する病気です。
哀しいことに、スパロウはフィンチへの感染を防ぐために別々に暮らすことになりました。

フィンチと離れ離れになったスパロウこそ愛情が必要でした。
ジャクリーンがスパロウの里親に選んだのが私のガールフレンド、ミカエラでした。
私たちはスパロウのあまりにも辛い過去に心を痛め、全力で彼女に愛情を注ぐことをジャクリーンに約束しました。

傷ついたスパロウは一時もひとりでいたくありませんでした。
スパロウは私たちの膝や腕が空いているのを見つけるとすぐに跳びこんできました。
私やミカエラが抱き締めていると、スパロウはそのまま眠ってしまうこともしばしばでした。
スパロウは2度とひとりにはなりたくなかったのです。

ミカエラが帰宅するとスパロウは置いていかれたことに抗議するように大きな声で鳴きました。
ミカエラがソファに座るとスパロウはすぐに彼女まで飛んでいき、ミカエラの顔に頭突きをしました。
スパロウはミカエラに寄りかかって微笑みを浮かべていますが、彼女は不器用なところがあってミカエラの傍からずり落ちてしまい、私たちを笑わせます。
そんなスパロウが私たちは愛おしくてたまりません。

スパロウは小柄でまだ痩せていますが、少し体重を増やすこともできました。
彼女は今、Felvの治療を続けて免疫力を高めながら新しい家族を探し始めました。
Felvはネコだけの感染で他の動物への感染はありません。
スパロウは犬やウサギなどのペットと一緒に暮らすことができます。
好奇心が旺盛でとても社交的なスパロウはきっと彼女を理解して愛情を注いでくれる家族と巡り合えると思います。
スパロウは辛い過去の哀しみを乗り越え私たちの腕の中で新しい家族との出会いを楽しみに待っているのです。