アメリカ・フロリダ半島西海岸タンパベイに住むエリス・ハトソンさんはバートという名の愛猫と暮らしていました。
バートは室内飼いではなく野良猫に近い状態で飼われていたようです。
お腹を空かしたバートに近所の人はいつもごはんをあげていました。
そんなある日、エリスさんが家で昼寝をしていると外で「ドン!」という鈍い音がしたので何事が起きたのかと行ってみると血だまりの中でバートが横たわっていたのです。
おそらく車に轢かれたのでしょう。
全く動かないバート。泣き崩れるエリスさん。
エリスさんは血まみれのバードを抱え泣きながら裏庭に埋葬したのです。
エリスさんはバートが自由に行動できるように放し飼いしていたことを悔やんだといいます。

事故から数日後、エリスさんの家のドアが乱暴にドンドンと叩かれたのでドアを開けてみると隣人が死んだはずのバートを抱えて物凄い形相で立っていました。
エリスさんはびっくりして腰を抜かしてしまいました。
隣人に抱えられたバートは体中がボロボロで土にまみれ、片目がつぶれてまるでゾンビのようでした。
バートは事故で死んでいたのではなく、エリスさんが死んだと勘違いしたため生き埋めにされた状況だったのです。
そしてバートは土の中で意識を取り戻し自分で土を掘って地上へ出てきたのでした。
隣人に問いただされたエリスさんはまだ信じられない様子だったのですが、とにかくバートを動物病院へ連れていきました。

病院で診察してもらうとバートは顎を骨折し、片目が壊死していることが分かりました。
獣医師によると事故の後すぐに病院へ連れて行けばこれほどの状態にはならなかったようです。
バートの緊急手術が始まりました。
大量の輸血を受け、片目は失ったものの一命はとりとめました。
エリスさんはまたバートと一緒に暮らせると喜んだそうです。
しかし、今回の出来事を不信に思った獣医師は地元の動物福祉団体「タンパベイ動物愛護協会」へ連絡をしました。
「このままエリスさんにバートを戻して大丈夫なのか?」
隣人からの普段のバートの生活状況を聞きエリスさんにはバートに対する飼育管理能力がないのではないかと判断した動物福祉団体の職員はバートを保護することにしたのです。

動物福祉愛護団体はバートの里親探しを始めました。
エリスさんは絶対にバートを手放さないと怒り、愛護団体スタッフとの長く戦いましたが、結局手放すことになりました。
決め手は日頃の飼育状態を近所の人たちへ聞いた内容でした。

事故と生き埋めによりバートには重い障害が残りましたが、数ヵ月後新しい家族の元へ引き取られていきました。
強靭な生命力で乗り越えたバートはこれからは本物の愛情に包まれ幸せに暮らしていくことでしょう。