家の前に到着したとき、私はそれがどんなにひどいものかを思い知らされました。
家の中に入るといたるところにごみが散乱し、殺鼠剤が詰まったバケツが床に置かれてあちこちにネズミの死体が横たわっていました。

廊下を進むと、猫は階段の一番下に座り力なく私を見上げました。
猫は空腹と寒さと孤独に疲れ切っていました。
猫の傍にはボウルが置いてありましたが、中の水は凍っていました。

猫の傍に紙に書かれたメッセージがありました。
『猫は放っておいてください。猫にはここに居る理由があります。ありがとう。』
理由?
つまり、猫はネズミの駆除のために置き去りにされていたのです。
私には猫にネズミを追う気力と体力が残っているようには見えませんでした。

猫は人間に慣れていませんでした。
人間に愛情をかけられたことがないのでしょう。
しかし。
私が猫を箱に入れ毛布を掛ける間猫は一度も逃げようとはしませんでした。
私は猫が救いに来たことを分かっているような気がしました。

私は猫を車に乗せて、動物保護施設Country Cat Sanctuaryへ向かいました。

獣医師の診察を受けた猫は、約1歳半のオスでした。
全身がノミに覆われて、炎症を起こして真っ赤になった耳からはダニも見つかりました。
被毛は汚れて絡み合い、いたるところから咬み傷が見つかり皮膚は潰瘍を起こしていました。
そして、首に深い傷が残っていました。
幸いにも血液検査の結果に大きな問題は見つかりませんでした。

Country Cat Sanctuaryの創設者、友人のグウェンが猫の治療と看護を引き受けてくれました。
私たちは猫にシルベスターと名前を付け、彼に必ず健康を取り戻すことを約束しました。

施設のスタッフ達はシルベスターの心と身体の傷を癒すために懸命のお世話を始めました。

グウェンは施設のFacebookにシルベスターに起こった事実を投稿しました。
すると、シルベスターを励ますたくさんのメッセージやプレゼントが届けられるようになりました。
シルベスターは彼の恐ろしい体験に心を痛めた人達に支えられて初めて人のぬくもりを感じることができました。
シルベスターはゆっくりと深い傷を癒していきました。

食欲を取り戻し、体重を増やしたシルベスターは2か月が経つとすっかり健康を取り戻していました。
届けられたたくさんのオモチャで遊ぶシルベスターは、施設のスタッフや彼を応援するたくさんの人の心に寄り添われ、悪夢のような過去からようやく解放されました。

私が初めて会ったときシルベスターは見知らぬ人間の私に優しい猫でした。
彼を傷つけた人間がいるにも拘わらず、シルベスターは人間を信頼してくれました。
健康を取り戻したシルベスターは愛情深くとても甘い猫です。

シルベスターは今永遠の家を見つけ、新しい家族とたくさんのオモチャに囲まれて暮らしています。