その日は季節外れの寒い日でした。
救い出した子猫は寒さのために体の震えが止まりません。
スタッフはシャツの中に子猫を抱いて温めながら動物病院へ急ぎました。
救出にあたったスタッフたちは子猫をスティーリー・ダンと呼んでいました。
スタッフの胸で温められたスティーリー・ダンは次第に震えが収まっていきました。

病院に着いたとき、衰弱していたスティーリー・ダンはほとんど反応しませんでした。
診察を受けると、低体温症に陥っていたためそのまま入院することになりました。
ありがたいことに心配した病院のスタッフ達は全員が病院にとどまり、スティーリー・ダンのそばに付き添ってくれたのです。

翌朝になると、スティーリー・ダンはっすっかり元気を取り戻し、スタッフ達にさかんにおしゃべりを始めました。

退院後施設へやってきたスティーリー・ダンのお世話を養育ボランティアのケリーさんにお願いすることになりました。
ケリーさんの自宅に移されたスティーリー・ダンはすぐに家族になじみ、愛される存在になりました。

数週間後、ケリーさんから思わぬ申し出を受けました。
スティーリー・ダンはケリーさんとその家族の心を盗んでしまい、彼を手放せなくなったのだといいます。

ケリーさんは彼にオスカー・マンキティと新しい名前を与え、正式に家族に迎えました。

ケリーさんの心のこもった食事の後、お腹いっぱいのマンキティはママの膝の上でぐっすりと眠ってしまうのが日課になったようです。

ケリーさんの家族に愛情を注がれたマンキティはすくすくと成長しました。

養育ボランティアのケリーさんのもとには、マンキティに続く子猫たちが入れ替わり訪れていました。
愛情深い猫に成長したマンキティは、やってくる子猫たちに興味を持ち、ケリーさんの仕事を手伝うようになりました。
彼は子猫たちに寄り添って母猫の代わりにぬくもりを与える役割を買って出てくれたのです。

ケリーさんがエイデンという子猫の養育を引き受けてくれたときのことです。
マンキティとエイデンはすぐに仲良くなり、特別な絆を結んでいきました。
ついに2匹を引き離せなくなったケリーさんはエイデンを家族に迎える決心をしました。

施設のFacebookにはエイデンが永遠の家に迎えられたことを伝得る投稿がありました。
『ケリーさんは2度養育に失敗し、2匹の猫を家族に迎えました。
しかし、2匹の子猫は愛情に溢れた幸せな人生を送ることになりました。
養育の失敗は必ずしも悪いことではありません。』

泥の中で衰弱していた子猫は、人間のぬくもりと愛情で命を繋ぎ、その記憶を忘れることはありませんでした。
成長したマンキティは愛情を注ぐ側になり、今も救ってくれた人たちの仕事をしっかりと支えています。

マンキティは救われた命で子猫たちを新しい人生へ導いています。