動物病院へ運び込まれた子猫たちは生後2週間の小さな子猫でした。
冷たく冷え切った体はやせ細り、どの子も著しく衰弱した状態でした。
その中の1匹は染色体の異常が原因の口唇口蓋裂の状態で生まれていました。
上唇から鼻にかけて薄く裂けているので他の子猫たちとは少し違った顔つきをしていたのです。
幸いにも非常に軽度なため、水分や食べ物の摂取に影響はないと思われました。
それが後にエミット名付けられ、唯一生き延びた子猫でした。

到着して間もなく、獣医師たちが治療を始める中で子猫の兄弟たちは次々に息を引き取っていきます。
ついには最後の1匹だけになってしまいました。
しかし、生き残った子猫もほとんど反応が無く、獣医師たちは懸命の治療にあたりました。

なんとか持ちこたえた子猫は、同じカリフォルニア州、バーバンクにある動物保護設Milo's Sanctuaryが引き取ることになりました。

Milo's Sanctuaryは、障害や病気、高齢のために特別なケアが必要な猫に生涯の家を提供する活動も行う保護施設です。
エミットと名付けられた子猫に、施設は24時間体制の看護を始めました。
エミットは抗生物質の投与が続けられ、チューブを使って栄養価の高い食べ物が与えられました。

懸命の看護にあたるスタッフたちには彼が生き延びられるのか分かりませんでした。
しかしエミットの生きたいという意志は強く、次第に小さな体にエネルギーを蓄え始めました。
そして、2週間が経過すると、見違えるほどの回復ぶりを見せてくれました。

元気を取り戻して動き回るようになったエミットを見守るスタッフたちは、あることに気付きました。
エミットは立ち上がるとゆらゆらと体の方向が定まらずまっすぐに歩くことができなかったのです。
彼は軽度のCH(小脳形成不全)を抱えて生まれていました。

神経系に先天的な異常のある状態のためゆらゆらと体が揺れてしまいます。
ジャンプもうまく跳べません。

でも、元気を取り戻したエミットは自分のハンディを全く気にする様子はありませんでした。
むしろ、できないことを自分にできる他の方法でカバーしてほかの猫たちに交じって遊びを楽しんでいました。
施設のスタッフ達はいつも前向きなエミットの姿勢を頼もしく思いました。

施設にはエミットの到着より数か月前にメキシコで発見された子猫のマギーが暮らしていました。
マギーは先天的な呼吸器の疾患、漏斗胸(胸骨の奇形のために肺や心臓が圧迫される状態)を抱えて生まれ、呼吸が困難な上に栄養失調に陥りやせ細った状態で保護されました。
その後、詳しい検査と治療を受けるためにMilo's Sanctuaryに引き取られてきたのです。

マギーと出会ったエミットは、お互いに興味を持ち合いすぐに仲良くなりました。
2匹はお互いの視界の中から外れることがほとんどなく、1日中常に寄り添うようになったのです。
仲のいい2匹を見守るスタッフたちはいつも笑顔をもらっていました。

同じような境遇に生まれハンディを抱えながら懸命に生きる2匹は、お互いを支え合うよき親友になっていました。

マギーは平均より小さく、彼女の成長を待って胸骨の矯正手術を受ける必要があるか獣医師が判断しなければなりません。
マギーは今後も生き延びるための試練を乗り越えていかなければならないのです。
しかし、彼女の傍には常に前向きに生きるエミットが寄り添っています。
苦難を乗り越えたエミットはきっと親友の試練を一緒に戦ってくれるでしょう。

2匹の人生の始まりはとても困難でしたが、施設にはともに寄り添う親友との出会いが待っていました。
エミットとマギーは2匹の永遠の家で、肩を並べて未来へと歩みを進めています。