猫のいるコロニーにはずっと猫たちを見守り何かとお世話をしている人がいました。
ある日、私たちは猫に異変を感じ、保護を急がなければならないと思いました。

ついに猫を保護したとき、猫は自発的にトラップの中に入って行きました。
そのときの猫からは以前の力強さは感じられませんでした。
猫は限界を感じ、私たちに助けを求めているように見えました。

私はすぐに猫を動物診療所へ連れて行きました。
診察後、猫は耳と鼠蹊部の感染症の治療をしてもらい、去勢手術を受けました。
ところが猫がFIV(猫免疫不全ウィルス感染症)に陽性だと分かると、診療所の獣医師は彼の安楽死を薦めてきたのです。

しかし私は猫の目がはっきりと『生きたい』と言っているように感じました。
私は猫を自宅へ連れて帰り、彼の人生を変えることができるかやってみようと思いました。
私は猫にベルベデール(Belvedere)と名前を付け、Mr.Bと呼ぶことにしました。

数週間のうちにMr.Bは鼻と耳の感染症、抜歯の必要な歯の治療を受けました。
少しずつ気分がよくなってくると彼が自分の殻を破り始めているように感じられました。
Mr.Bはなぜか私に信頼を置き始め、薬を飲ませたり、耳の手入れをするときも私が彼のためにしているということを理解しているようでした。
なぜ彼が理解したのか・・・私は魔法のように感じました。

私はMr.Bに触れられることに慣れてもらおうと、木製のスプーンを使って頭や顎の先を撫でたり、おやつをあげたり試してみました。
彼の足先に触れると気に入ったようだったので頭の後ろまで撫でてみました。
するとMr.Bはとても気持ちよさそうにとろけるような表情を見せました。

治療を続けながら1か月が過ぎ、Mr.Bに力強さが戻ってきました。
私は、彼に家猫として暮らせるかを試してみようと思いました。
すると、Mr.Bはすぐに人間との生活に適応したのです。
とは言っても、彼は特定のことをとても警戒し恐れていました。
それでも、私は彼の背中の半分くらいを撫でられるようになりました。
この頃になるとMr.Bは外の暮らしに戻る気を完全に失っていました。

Mr.Bのレントゲン写真を見たとき、それは彼の野良猫としての人生を全て物語っていると思いました。
Mr.Bは全身に傷跡を残しダニに覆われていただけでなく、重度の関節炎を患っていたのです。
私は3人の異なる獣医師に安楽死を薦められましたが、Mr.Bの目はその薦めを全て跳ね返していました。
そして。
自宅に連れ帰って3ヶ月後には私の膝に座るようになったMr.Bは、彼の意志が正しかったことを証明してみせたのです。
彼は驚くほどの回復をみせてくれました。

私は多くの忍耐をもってひたすら愛情を注ぐことに集中してきました。
病に侵され、とても臆病だったMr.Bは予想もしなかったほど大きくその個性を開花させたのです。

元気を取り戻したMr.Bはとても愛情深く、社交性があり、家猫としての暮らしを満喫していました。
推定12歳の彼は、野良猫としての人生から抜け出したことを感謝していました。

救出から4か月が経過し、ほとんど健康を取り戻したMr.Bは新しい家族を探す時期を迎えました。
私は、今後も健康状態の管理が必要な彼のために、できれば動物医療関係者の家族を探そうと思いました。
幸運なことにノースカロライナに暮らす獣医看護師のジェンナさんがMr.Bを家族に迎えたいと申し出てくれたのです。
木製のスプーンを喜ぶ彼の姿に心を奪われたジェンナさんは、夫とはるばるフロリダからMr.Bを迎えに来てくれました。

Mr.Bと暮らし始めたジェンナさんが心境を語っています。
『自宅に着いたMr.Bは全身に戦闘痕を残す愛情に満ちた少年で、何も恐れず私たちへの信頼と満足感だけを見せてくれました。
彼は遊びが大好きでオモチャで何時間も遊んでいます。
無邪気に遊ぶ彼の目を見れば、彼の内面を感じることができます。
Mr.Bは最高にユニークで、彼は私の人生を変えてくれました。
彼からは、愛情や信頼、強さ、どんな状況からも回復する力が伝わってきます。
私は彼なしでこれからの人生を想像できません。』

最高の家族のもとへ旅立ったMr.Bは私の誇りです。