開業して1か月ほど経った頃、裏庭のデッキの下で見つけたという近所の方から3匹の健康状態を確認するためにスタッフが子猫たちを預かってきました。
生後約6週の子猫たちははじめはとても怯えていました。
しかし、人間の中で暮らすのも悪くはないと気付くと、元気いっぱい、それぞれの個性を発揮し始めました。
私は3匹がとても気に入ってしまい、見つけた方から譲り受けることにしました。

黒白の子はカール、茶トラの2匹はラリーとロジャー。
子猫たちを引き取ったことをとても喜んだ10歳の娘が、3匹の名付け親になってくれました。

3匹は診察室、病院の待合室やクラークでクリニックを訪れるたくさんの人や患者の動物たち、そしてスタッフたちに囲まれてのびのびと成長しました。

仲の良い3匹ですが、それぞれ全く異なる個性を持っています。

ラリーは女性のバッグの中に潜り込むのが大好きで、そこから財布を盗むことを覚えました。
猫はバッグや袋に入るのが大好きなものですが、彼はそこで財布を盗むというゲームを始めたのです。

カールは病院を訪れる犬と張り合うのが大好きです。
カールはどんな相手でもいつも一歩も譲ろうとしません。
いつしかカールはクリニックの「バッド・ボーイ」と呼ばれるようになりました。

私のクリニックでは毎週土曜日、来院者にドーナツを振る舞っています。
そのドーナツを狙っているのがロジャーです。
スタッフはロジャーからドーナツを守らなければなりません。

ロジャーとラリーはクリニックを訪れる人や動物たちとふれあうのを特に好んでいます。
待合室にいる彼らのおかげで、人も動物たちも緊張や不安を和らげています。
2匹は連れてこられた動物のキャリーケースに興味を持ち、中の動物と一緒に入っていることもあります。
検査や手術を受ける動物がいると早速傍にやって来て一緒に診察台に上がり寄り添っています。
中には緊張や恐怖のために落ち着きを失う動物もいますが、そんなときロジャーは抱きしめて落ち着かせようとしています。
そして、手術を終えた動物が麻酔から覚めるまでじっと傍に寄り添っています。

それは犬や猫に限らずあらゆる小動物、鳥類に至るまで限りはありません。
どちらかといえばクールなカールも、患者の動物たちにここが彼らにとって安全で安心できる場所であることを伝える大事な役割を果たしてくれます。
時には張り合った犬達と待合室のソファで一緒に昼寝をしていることもあります。

動物の家族たち、そして忙しく働くスタッフ達ものびのびと暮らす3匹に心を和まされ、彼らのヤンチャも笑いの種になっているのです。

置き去りになっていた3兄弟が、このクリニックを自分の家としてのびのびと暮らしていることも、クリニックを訪れる動物やその家族に愛されていることも私にとってとても幸せなことです。
ラリー、ロジャー、カールは、3匹にしかできない重要な役割を果たしてくれています。

今日も3匹はクリニックで仕事に就いています。
その証拠にクリニックのあちこちで笑い声が上がっています。