ボストンの動物救助連盟から連絡を受けた私は、里親を始めて10匹目の子猫を迎えに行きました。
子猫は通りで発見され、傍には亡骸になった兄弟が居たそうです。しかし、辺りに母猫を見つけることはできませんでした。

保護されたばかりの子猫は生後約3週ながら体重は450gしかなく、お腹を空かせ、とても汚れていて大きな声で泣き叫んでいました。

私たちは子猫にポーキーと名前を付けてお世話を始めました。
ポーキーはひとりにされることをとても嫌がり、部屋に置かれると殆ど絶叫に近い鳴き声をあげました。
そこで私はポーキーの傍に常にいられるように、ストールで彼を包み胸に抱いて一日を過ごすようになりました。
私の体温はポーキーの心を落ち着かせる一番の薬になり、ポーキーの僅かな重みは私の心をポーキーで埋めるのに時間はかかりませんでした。

ポーキーが新しい家族を探せる時期が来たとき、再びシェルターから電話が入りました。
『もう少し待ってもらえますか?』
ポーキーとの別れを受け入れられなかった私は一度引き延ばしたものの、それから半月ほど経ったときシェルターへ電話をかけました。
『これからもポーキーを守っていきます。』
私たちは正式にポーキーを家族に迎えました。

ポーキーが2歳を迎えた頃から、私たちは里親の活動を再開しました。

私たちは子猫たちを預かると、健康状態や個性を把握してどのようにお世話するかを決めるため、一定の間ひとつの部屋から出すことはありません。

ある日ポーキーは閉ざされた部屋の中に子猫の気配を感じました。
そしてドアを開けるようにドアの向こう側でずっと鳴いていました。

子猫たちの部屋を解放したとき、ポーキーは目を輝かせ、子猫たちの中に入ると毛繕いをはじめて私たちを驚かせました。
そしてそのときからポーキーは私たちと一緒に子猫たちの里親をはじめたのです。

ポーキーは新しい子猫たちがやってくるたびにドアの前で鳴いていましたが、出入りする私たちを観察していたのかいつの間にか自分でドアを開けることを学習してしまいました。
そしてついには家中のドアを開けられるようになり、子猫たちの部屋へ自分で入るようになりました。

そのためポーキーにまだ接触してほしくない入りたての子猫たちの部屋の前には、彼にドアを開けられないようモノを積み上げなくてはなりませんでした。
ドアの外のポーキーはイライラを募らせ、一日中ドアの前で鳴き続け、部屋の中に入れないことをとても怒っていました。

ポーキーは子猫たちに出会うとまず毛づくろいをして仲良くなり、遊びを教え、毛繕いの方法を教えました。
子猫たちはポーキーに抱きしめられ、彼の体に上って遊びました。
ポーキーは子猫たちに愛され、子猫たちと過ごす時間が一番の楽しみになっていったのです。

スプラウトという子猫を預かったときのことです。
スプラウトは生後3週で平均の体重の半分の大きさでした。
汚れた小さな体はひどく衰弱した状態で保護されました。

スプラウトのように、生後間もなく母猫のお世話を受けられなかった子猫は、本能の働きで野生を残しやすく人間との暮らしになかなかなじめない傾向があります。
ひとりぼっちだった子猫を育てるのは里親にとってとても難しいものなのです。

ポーキーはスプラウトと初めて会った時、他の子猫と同じように早速お世話を始めました。
ポーキーはスプラウトの傍に常に寄り添い、遊び、まるで本当の親のようにお世話をしていました。

そして、スプラウトが永遠の家へ旅立ったとき、彼女は新しい家族との暮らしにスムーズに馴染んでいくことができたのです。

スプラウトとの出会いはポーキーにとっても貴重な経験でした。
彼は、ひとりぼっちだった子猫にとって、何が必要なのかを知っていて、自分が何をすれば子猫を幸せに導けるかを理解しています。
私たち人間にはとても難しいことを、ポーキーはごく自然にするようになっていました。

彼は自分と同じ境遇の子猫が家猫として幸せに暮らせるようになることを助け、次第に評価されるようになりました。
シェルターにスプラウトのような子猫が保護されると私たちは『今ポーキーは空いていますか?』と連絡を受けるようになったのです。

その後、ポーキーは私たちがお世話をした90匹の子猫たちのうち、20匹の子猫を送り出すために貢献し、今もその数を増やし続けています。

私たちにとって心強い存在に成長したポーキーですが、問題がないわけではありません。

私たちは家中のドアを開けられるポーキーのために、子猫の脱走を防ぐために専用の部屋のドアを取り換えなければなりませんでした。
そして、新しい子猫がきたとき私たちに接触させてもらえないことをとても怒ります。
さらに最大の問題は我が家から子猫たちが1匹も居なくなったときに起こります。

いま、子猫たちが次々に旅立って1匹も居なくなりました。
この状態をポーキーは数日で我慢ができなくなります。
そして彼は普段はしないいたずらをするようになり、私たちに訴えるのです。
『どうして子猫が居ないの?!子猫たちを連れて来て!』

衰弱した状態でひとりぼっちで保護されたポーキーは、私の胸で人間のぬくもりを感じ、その中で大きくなりました。
自分と同じ境遇の子猫たちと出会ったとき、ポーキーは人間との暮らしの中にも温かさがあることを子猫たちに教え、一緒に暮らすのも悪くはないと教えてくれています。
彼は、たくさんの子猫たちが永遠の家を見つけ、そこで幸せに暮らせるよう導くことを一番の楽しみにしています。

ポーキーと特別な絆を築いた私たちは、ポーキーとの出会いで里親としても最高の報いを得られたと感謝しています。