野良猫は体にはあちこちに古い傷跡があって、周りを常に警戒していました。
私が近付こうとしたときも、ケガをしているのにすぐに臨戦態勢で威嚇してきました。

これは時間をかけるしかない、私はそう思って次のチャンスを待つことにしました。
そして野良猫をラリーと呼ぶことにしました。

その後何度も近付こうと試みたのですが、ラリーは人間と関わりを持ちたくないようでした。
でも、空腹には勝てなかったようで私があげるご飯を食べるようになりました。

ほんの少し、ラリーの警戒心が解かれていくのが分かりました。
そしてラリーは私の傍にいれば空腹にならずに済むと気付いたようです。

長い日々の後、なかなか触れさせてくれなかったラリーはある日突然、私に抱きついてきたのです。

その日から、ラリーは私の一番の親友になりました。

ラリーの信頼を得た私は、彼とできるだけ一緒に過ごしたいと思うようになりました。
ラリーも、私と一緒に過し私に注目されることを望んでいました。

ちょうどその頃、私は『BLUvintage』という古着屋をオープンさせたばかりで忙しくしていました。
ラリーと長いときを過ごしてきた私は、きっと彼ならお店で過ごすことができると思い、店へ連れて行くことにしました。

ひととおり店内を見ていたラリーは居心地を気に入ってくれたようでした。
青いスツールを自分の椅子と決めて、お客様がいらっしゃると入口まで出迎えに行くのを楽しみにするようになりました。

カウンターに座り店内を見回すラリーを、『いい警備員だね。』そう言うお客様もラリーの存在を喜んでくれました。

お店のスタッフやお客様とのふれあいはすぐにラリーの楽しみのひとつになり、小さな子供たちの相手もラリーは得意になりました。
子供たちがラリーを相手に遊んでいる間、お客様たちは安心して買い物をすることができるのでスタッフも助けられています。

中にはラリーに会うことを一番の楽しみに来店される方もいらっしゃるようになりました。

ちょっとひと休みしているラリーにいたずらをしているつもりはありません。
でも、服選びをしている女性のお客様は、ときどきラックの下に潜んでいるラリーにビックリさせられます。
ありがたいことに、驚いたお客様はそれを喜んで店内は和やかな笑いに包まれています。

ラリーは『BLUvintage』になくてはならない存在になっていきました。

接客や対応に忙しいスタッフ達も、ラリーと働くことを喜んでくれています。
真剣にパソコンに向かうスタッフは、構ってほしくて張り付いてるラリーの「監視」に癒されるそうです。

人嫌いだったラリーはたくさんの人に囲まれ、人を喜ばせる存在になってその時間を楽しんでいます。

私たちは、助けが必要な地元の動物たちのために店舗の収益を使っていますが、最近、別の店舗で保護猫を飼うことができました。
ラリーは『BLUvintage』にやってくる人々だけでなく、自分と同じ境遇の仲間たちにも貢献しています。

もっとたくさんの動物を助けられるように、これからもラリーと一緒に頑張ろうと思っています。