今年2月、ワシントン州シェルトンにある動物保護施設Kitten Rescueに、動物管理センターが保護した数匹の猫がやってきました。
その中の1匹、上気道感染症を患う妊娠中のアマルシーアのお世話をボランティアのエイミーさんが引き受けました。
アマルシーアは飼い主さんが亡くなってしまったために保護されていました。

エイミーさんの自宅に来てすぐに、アマルシーアは6匹の子猫を出産しメスのリル、ユニコーン、モリーグルー、オスのキャプテン・カリー、バタフライ、シュメンドリックのうち、モリーグルーを除く5匹は尻尾が全くないランピーでした。

マンクスは両親共にランピーである場合とランピー同士の交配が3度続いた場合、劣性遺伝のためマンクス症候群と呼ばれる致死性の疾患を持って生まれることが分かっています。

ほかの子の約半分と最も小さく生まれたユニコーン、後ろ足に変形を持って生まれたリルはマンクス症候群が疑われました。
マンクス症候群は生後半年ほどまで成長しないと診断するのが難しいため、エイミーさんは24時間体制、アマルシーアの一家から片時も目の離せない日々を送りました。

アマルシーアは万全の体調ではありませんでしたが、6匹の子猫に愛情を注ぎ懸命にお世話をしていました。

小さなユニコーンは生後2日ほど経つと、緊張のために大きく泣き叫んだためアマルシーアは驚き惑っていました。
エイミーさんはユニコーンを落ち着かせるためにシリンジでミルクを与え、おとなしくなったユニコーンをアマルシーアのもとへ返してあげました。
エイミーさんは誰よりも小さく繊細ながら必死に生きようとするユニコーンに自分にできる全てのことをしてあげようと心に決めていました。

ユニコーンはその後も何度も泣き叫んでアマルシーアを困らせていましたが、エイミーさんにもらうミルクをたくさん飲んで少しずつ体重を増やしていきました。
エイミーさんがミルクをあげている隣には、アマルシーアが我が子を返してもらうのをおとなしく待っていました。
アマルシーアはエイミーさんが我が子のお世話をしていることをちゃんと理解しているようで、エイミーさんがユニコーンを返すと、早速体の掃除をしてほかの子と一緒に抱きしめていました。
一週間後にはアマルシーアの感染症はかなりの回復をみせていました。

エイミーさんの献身的な看護とアマルシーアに愛情を注がれていたユニコーンでしたが、生後11日の3月8日、発熱と食欲不振に陥り、獣医師の懸命の治療にも拘らず、残念ながら虹の橋を渡って行ったのです。
ユニコーンとの間に特別な絆を築いていたと語るエイミーさんの悲しみは計り知れないものでした。

しかしエイミーさんには彼女のお世話を必要とするアマルシーアの一家が待っています。

後ろ足に変形を持って生まれたリルは、先天的に背骨と坐骨神経が不完全な仙尾骨形成不全と非常にまれな体節別脊髄異形成を抱えていることが分かりました。
上半身と臀部を動かすことができますが、後ろ足全体に感覚が全くない状態だったのです。

リルはほかの子よりもやや小さめな身体でしたが、とにかく元気いっぱい、旺盛な好奇心を持っていました。
エイミーさんはリルが排泄で不快な思いをしなくて済むように、靴下でリル専用のオムツを作ってあげました。
子猫たちがハイハイを始め、オモチャに興味を持って遊び始めたとき、リルはオムツのおかげでほかの子猫たちと一緒に遊ぶことができました。

エイミーさんはリルにできる限りほかの猫と一緒に経験させようと決めていました。
リルの遊びたい気持ちが満足できるように他の子猫が簡単に越えられる低いサークルを作り、その中にリルとたくさんのオモチャを入れました。
そのおかげでリルはいつも兄弟に囲まれておもちゃで遊ぶことができたのです。

生後2か月が経ったある明け方、リルに異変が起こり、エイミーさんは救急病院へ連れて行きました。
前の夜まで元気にご飯を食べていたリルは急に具合が悪くなっていたのです。
内科医の診断ではリルが大好きなドライフードが消化器に負担をかけているため、いずれ矯正手術の必要があるといいます。
そして、診察が進むにつれ、生殖器と血液に異常が見つかりました。
身体が小さく下半身に奇形が集中しているため、性別の判別が非常に難しかったのですが、それまでメスだと思われていたリルはオスだということが分かったのです。
病院の獣医師たちの懸命の治療のおかげで間もなく元気を取り戻すことができました。
そして獣医師が処方してくれたリル専用の食事を気に入り、みるみると回復することができました。

リルは彼の成長を待って、下半身を中心にいくつかの矯正手術を受ける必要があります。
前脚を使って俊敏に動き、兄弟と元気に遊ぶリルは、いつもポジティブでまっすぐに前を見詰めています。
エイミーさんはリルならきっとどんな困難も乗り越えられると信じ、今後も彼を支えたいと思っています。

エイミーさんはアマルシーアの出産前からSNSを通じて一家の様子を投稿していました。
子猫やアマルシーアのがんばる姿にたくさんの励ましや寄付が寄せられ、子猫たちを引き取りたいという希望者がたくさん現れているようです。
子猫たちが旅立てる時期が来たとき、それぞれが幸せな出会いに恵まれてほしいものです。

見守ってくれるたくさんの人に感謝しながら、エイミーさんは今日も一家のお世話に奮闘しています。
文字通り全霊を傾けてお世話をしているエイミーさんのためにも、アマルシーアの一家には5匹の子猫が無事に成長し全員に幸せになってほしいですね。

参考資料:『みんなの猫図鑑』マンクスhttps://www.min-nekozukan.com/manx.html