娘さんはフーニーをいったん引き取ったのですが、彼女自身と彼女の息子に猫アレルギーがあったため仕方なく施設へ助けを求めてきました。
彼女はフーニーのために彼が好きなものと嫌いなもののリストを作ってくれていました。
そして大のお気に入りとしてフーニーが親友と一緒の写真を添えてくれていたのです。
彼女は、フーニーのことをとても愛していました。

彼女の言う通り、フーニーはぬいぐるみを片時も離しませんでした。
遊び相手も、寝るときに抱きしめるのもそのぬいぐるみでした。
ずいぶん長く彼のお気に入りだったとみえて、ぬいぐるみはかなり傷んでしました。
背中はフーニーのキックのせいで、もはやボロボロだったのですが・・・
フーニーは確実にぬいぐるみの親友に支えられていました。
そして、ぬいぐるみを固く抱きしめているフーニーは、時折懐かしい家の匂いを感じているようにも見えました。
施設では滅多にないことですが、私たちはぬいぐるみとフーニーを離すことはできませんでした。

フーニーは健康状態に全く問題はありませんでした。
新しい家族を探しながら、シェルターの中でその準備を整えるためにスタッフの家でしばらく過ごすことになりました。

フーニーはおしゃべりが大好きで、家の中で離れた場所にいるとスタッフを大きな声で呼ぶのだそうです。
フーニーのいる場所へスタッフが行くと、抱きついて来て落ち着いたようにおとなしくなるのだそうです。
大きな甘えん坊のフーニーにスタッフはメロメロなようでした。

娘さんはフーニーの大好きなもののリストに『膝の上でリラックスすること』とあげていましたが、スタッフは膝の上で腹這いになって寝ると言って笑いました。
走る車の外を見るのも気に入ったようですが、どんなにお気に入りなことを見つけても、何より一番好きなのはやっぱりぬいぐるみの隣で寝ることだとスタッフは言います。

施設のスタッフ達はフーニーを間近で見ていて、新しい家族にシニアの猫を迎えることを躊躇する人が居たらこう言いたいと思ったそうです。
きっと彼らは、たとえ数年でも共に暮らす人に素晴らしい時間を持たせてくれると確信できると。

ボロボロのぬいぐるみを離さないフーニーはメディアに取り上げられ、記事になりました。
私たちは16歳と高齢な彼に新しい家族が見つかるのには時間がかかるかもしれないと思っていました。

ところが、すぐに問い合わせがありました。

記事を読んだというその男性、それは意外な人物でした。

男性は記事を読んでぬいぐるみと一緒のフーニーを間違いなく昔飼っていた自分の猫だと思ったそうです。

彼は14年前、当時のガールフレンドとたくさんのペットと一緒に猫を飼っていました。
しかし、破局を迎えたとき彼女はぬいぐるみと一緒にフーニーを連れて行ったのです。
男性もその方がいいと思っていました。
しかし、記事を読んでその猫が本当に自分の猫ならもう一度一緒に暮らしたいと思ったのだそうです。
そして、記事が公開されて数日後、フーニーはぬいぐるみと一緒に施設を旅立って行ったのです。

フーニーはこれまでと変わらず親友と抱き合って暮らしています。
フーニーは親友と一緒に自らチャンスを引き寄せてしまいました。

そして、フーニーは周囲の誰からも愛されていました。
亡くなった男性も、その娘さんも、再び一緒に暮らし始めた男性も、そして施設の私たちも。
フーニーが親友を大事にいているのは彼の愛情がそれだけ深いことを証明しています。
男性とフーニーはきっといい時間を過ごしていくでしょうね。